教員なし、暗記なし、学費も無料--型破りのエンジニア養成大学校「42」 - (page 3)

Jason Hiner (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-06-20 06:00

 最大の関心は、この考え方が米国でもうまくいくかどうかではなく、42がどれだけ早い時期に、この破壊的なアイデアを米国に持ち込めるかだった。5月、Niel氏とそのチームは、サンフランシスコのベイエリアに新たなキャンパスを開設する計画を公式に発表した。Niel氏は新たに1億ドルの資金を投じ(設立費用が4000万ドル、運営費が年額800万ドル)、2016年秋にカリフォルニア州フリーモントに42が開設される。この町は、Teslaの生産工場があることでよく知られている。

 42に興味がある18歳から30歳までの学生は、オンラインで応募できる。なぜ42が米国でキャンパスを開設するかを説明するプロモーションビデオを以下に掲載しておく。


結論

 高騰する大学の学費と、破滅的な学生ローンの債務の問題に米国が苦戦する今、問題は42が従来の大学のモデルに代わる効果的な教育を提供できるかどうかだ。

 42に対する最大の批判は、同校の教育は応用的な知識と専門的なスキルに特化しすぎており、例えばリベラルアーツの教育が教えているような批判的な思考や、大局的な観点からの分析方法を身につけられないのではないかというものだ。これに対し、従来の学生は、実際の世の中に当てはめられない知識やスキルばかり身につけているのに対し、42の学生は問題解決の文脈や、タスクを完遂することを学んでいるという反論もある。

 仮に42が有効な学習モデルであったとしても、果たして経済的に持続可能かどうかは疑問が残る。Niel氏から贈られた寄付金は、10年しか持たない。Sadirac氏は、7年目には、それ以降どのように学校を維持するかを考え始める必要があると述べている。1つの可能性は、起業に成功した学生が大学に寄付し、長期的な基金を設立することだ。しかしこのやり方は、大成功を収めた数人に依存することになりかねない。

 42には強い関心が集まっているし、同校が高等教育やITトレーニングに、極めて革新的なアプローチで取り組んでいることに対しては敬意を払わざるを得ない。しかし、最終的な判断は、42の学生が現実の世の中でどれだけ活躍できるかが明らかになるまで保留すべきだろう。今のところ、結果は良好だ。42の学生たちはインターンシップに引っ張りだこだし、何人かはすでにインターンシップを終えて自分の価値を証明し、フルタイムで働き始め、片手間に42を卒業しようとしている。問題は、今後10年間で、大ヒットを生み出し、IT業界のリーダーとなる人材が出てくるかどうかだ。それこそが、42の究極の評価となるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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