野村総合研究所(NRI)は6月30日、コールセンターを含む窓口業務に活用できる人工知能(AI)型対話システム「TRAINA」を発表した。7月から提供する。
TRAINAは、問い合わせの内容を的確に理解し、過去に得た知識をもとに回答候補を提示したり、自動で回答したりできるという。これまでのAIによる対話型システムでは、対話を成立させるための膨大かつ複雑なシナリオを準備する必要があった。TRAINAの場合、対話シナリオを自動で生成でき、導入期間やコストを削減できるという。
TRAINAの利用イメージ(NRI提供)
TRAINAは、テキストマイニングやセマンティック、全文検索など、NRIが長年培ってきた自然言語処理技術を使ったテキスト解析ソリューション群「TRUE TELLER」にAIを使った対話技術を取り入れて開発した。
これまでの対話型システムでは、利用者とのやりとりが原則として一問一答型となっており、質問が曖昧な場合には、システムが的確に回答できない場合も多かった。
TRAINAでは、利用者からの曖昧な質問をシステム側で解釈し、利用者の目的や意図を絞り込むための新たな質問を投げかけるといった自然な対話を繰り返すことで、利用者のニーズに的確に合致した回答を提供する。この追加質問や回答は、既存システムで蓄積した膨大なナレッジから導かれているという。
オペレーターがTRAINAを利用することで窓口業務をより高度化できると説明。PCやスマートフォンを通じた利用者からの質問に対して、TRAINAが自動回答することで窓口業務を効率化できるとしている。
従来の対話型システムでは、利用者の質問を想定しながら、応答に必要な対話シナリオを手作業で細かく作り込む必要があった。対するTRAINAではマニュアルやFAQなどを統合、最適化し、応対に必要なシナリオ(知識コンテンツ)を自動的に作成できる。
また、利用者との対話記録が蓄積していくにつれて、自動学習で対話と応答の精度を向上させられる。対話シナリオのベースとなるマニュアルやFAQを分析、評価し、内容の修正や不足個所を特定して、対話シナリオのブラッシュアップを促す仕組みも備える。こうした機能からAIの導入や拡張に要する期間とコストを大幅に削減できるとしている。