Mozillaは米国時間7月20日、ウェブブラウザ「Firefox」のFlashプラグインに関する方針を発表した。8月より一部のFlashコンテンツの遮断を進めるというもので、次期版「Firefox 48」から取り組みが実装されると予想される。2017年には、Flashコンテンツを利用するにはユーザーによる有効化が必要となるという。
Mozillaは、Flashプラグインは動画やインタラクティブなコンテンツを利用できるなど、ウェブブラウザの機能を拡張する利便性をもたらす一方で、安定性、性能、安全性の面で問題になりうるとしている。Flashのセキュリティ問題は以前から指摘されている。
このような理由から、Mozillaでは8月より、Firefoxにおいてユーザー体験に不可欠ではないと判断される一部のFlashコンテンツを遮断する。レガシーのFlashコンテンツについては継続してサポートするとのこと。これにより、Firefoxの安全性を強化し、消費電力の改善、ページ読み込みの高速化、ブラウザのレスポンス性改善などが図れると説明している。
Mozillaは他のベンダーや業界とともに、音声/動画再生、ストリーミング、クリップボード、高速な2D/3Dグラフィックス、WebSocketネットワーク、マイクとカメラへのアクセスなど、プラグインでしか提供されていなかった機能を置き換えるウェブAPIを開発しており、Firefoxへの実装を進めてきた。実際、Flashからこれらウェブ技術の切り替えが進むほど、プラグインによるクラッシュの比率も下がっていると報告している。
今後の具体的な予定としては、まずはユーザーの目に見えない特定のFlashコンテンツを遮断する。遮断の対象かどうかの判断にあたっては、HTMLで置き換え可能かどうかのリストを利用するという。これによりクラッシュとハングの比率を最大10%削減するとしている。
2016年後半にはリストを拡大して、広告測定のためにコンテンツのビューアビリティをチェックするFlashも含める予定で、2017年には、ウェブサイトでFlashプラグインを使ったコンテンツが再生されるためには、ユーザーのクリックによる承認が必要となるという。
このようなことからMozillaは、動画やゲームのためにFlashやSilverlightを利用するウェブサイトに対して、HTML技術を利用するよう呼びかけている。
Mozillaの決断はブラウザベンダーの方向性に沿うもので、Googleも「Chrome」で一部のFlashコンテンツの自動停止を実装しており、秋には無効化に向けてさらに進める計画だ。