富士通研究所、1Tbpsを超える波長多重信号を用いた実証実験に成功

NO BUDGET 2016年09月29日 07時00分

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 富士通研究所と独フラウンホーファー・ハインリッヒ・ヘルツ研究所(HHI)は9月20日、将来の波長多重光ネットワークの光通信中継ノードで必要とされる、波長多重された信号を一括して波長変換する新しい方式を開発。毎秒1テラビット(Tbps)級の大容量信号を用いた実証実験に成功したと発表した。今後、さらなる変換効率の改善や量産性の向上など実用化に向けた検討を推進し、2020年頃の実用化を目指す。

 大規模データセンターやクラウド型の高度なICTサービスなどを支えている光ファイバーネットワークは、異なる波長の光信号を束ねて一つの光ファイバーで伝送する波長分割多重(WDM)技術により、光ネットワーク内の多地点間を大容量かつ低遅延で接続している。この1波長当たりの容量は近年、偏波多重直交位相変調方式(水平偏波と垂直偏波の光信号を多重することで伝送容量を2倍にする偏波多重技術と、4値位相変調を組み合わせた光変復調方式)が事実上の業界標準となり、100Gbpsが一般的となっている。そして今後に向けて、より多値の変調方式を採用することなどによりTbps級の大容量の通信環境を実現する技術開発が進められている段階だ。

 光ネットワーク内の多地点間を接続する場合、同じ波長を含む光信号を同じ光ファイバーで伝送することができないため、光中継ノードにおいて同じ波長が重ならないように波長をずらして衝突を回避する波長変換機能(下図)が必要となる。


光中継ノードでの波長衝突

 この波長変換にはこれまで、いったん電気信号へ変換する方法や、非線形光学効果と波長フィルターを用いる方法が提案されていた。しかし前者では、電気信号と光の相互変換による処理遅延の増大と、波長ごとに変換回路が必要となることから、波長を多重する数が増えると消費電力が増大するといった課題がある。また後者では、一括して波長を変換できるものの、変換前の信号の波長だけを除去するような特性をもつフィルター素子が必要となるため、様々な波長の信号に対応することが難しく実用化に課題があった。


既存の波長変換技術。いったん電気信号へ変換する方法(左)や、非線形光学効果と波長フィルターを用いる方法(右)がある

 こうした課題に対し富士通研究所とHHIは今回、光の波長変換と同時に偏波状態を制御することによる新しい一括波長変換方法を発見し、本原理に基づいた波長変換回路を試作。試作回路を用いて、1Tbps超の偏波多重された光信号を一括変換する実験に成功した。入力される光の波長や変調方式に制約がなく機能する一括波長変換機能の実現は世界初という。

 開発した技術の特徴は以下の通り。

世界初、偏波フィルターを用いた新しい一括波長変換技術

 非線形光学媒質に光信号と励起光を合わせて入力することで、入力された光信号と波長変換された光が混在した信号を生成できることが知られている。今回、波長変換に伴って光信号の偏波状態を変化させ、従来技術の波長フィルターではなく、偏波フィルターによって波長変換前の光信号を除去し、波長変換後の光信号のみを抽出する新しい一括波長変換技術を開発した。励起光の波長間隔を制御することにより、変換後の波長を任意に制御することが可能。


新たに開発した波長変換技術

偏波多重された光信号の一括波長変換技術

 変換前光信号を垂直偏波・水平偏波の二つの成分ごとに分離して並列に波長変換し、再び合成することにより、偏波多重信号に対応する技術を開発。本原理に基づく回路を試作し、1Tbps超の偏波多重信号を一括変換する実験に成功した。

 本技術により、従来は、例えば1Tbpsの大容量光信号の波長変換のために10台の電気信号への変換が必要となっていた場合でも、1台の波長変換装置による一括変換が可能になるため、従来の10分の1以下の電力で同等の機能が実現可能になるという。また、変換前後の波長に制約がないため、柔軟にネットワークの構成を変更できる次世代光ネットワークの実現に貢献する。

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