モノのインターネット(IoT)の導入にあたっては大きなIT投資コストを伴い、運用課題も多いため、多くの企業ではなかなか導入に踏み切れていないのが実態だ。例えば、IoT機器の製品コストとネットワーク設定などの初期コストが高いこと、導入後の運用時には情報漏えいや成りすましなどのセキュリティ脅威に対する不安があること、開発を伴うカスタマイズには時間も費用もかかるといった課題がある。
そうしたIoT導入にまつわる課題を解決するために、OKIは920MHz帯無線を用いたIoT導入パッケージ「IoTファストキット」を10月3日から販売する。
同社が開発したIoTプラットフォームを基盤とし、簡単、低コスト、短期間での導入を可能にしている。試行後の本格導入に際しては、用途にあわせた拡張やカスタマイズが容易で、大規模システムでも安全に利用できるとしている。税別価格は23万円から。IoTゲートウェイ(IoT-GW)、920MHz帯マルチホップ無線ユニット、照度センサを各1式のほか、IoT基盤の利用料3カ月分を含む。
IoTファストキットの構成。照度、二酸化炭素、温湿度、振動などのセンサ(振動センサは11月提供開始予定、他種のセンサも順次提供検討中)、920MHz帯マルチホップ無線ユニット、IoT-GWを各1式、収集したデータを可視化するためのIoTプラットフォームをセットにしたソフトウェアが含まれる
920MHz帯マルチホップ無線を用いた広範囲なネットワークが安価に構築可能
同社が長年培ってきた920MHz帯マルチホップ無線技術により、広範囲なネットワークを安価で構築可能。干渉のおそれがある2.4GHz帯無線と違い、920MHz帯マルチホップ無線にはその心配がなく、障害物を回り込みながら長い距離での通信が可能。
親機から直接電波が届かなくても近隣の子機を経由してネットワークに接続できるため、広いエリアの無線ネットワークを低コストで構築できるほか、電波状態の良い経路を自動的に選択して通信を行うため、一時的な電波障害に強く、少ない機器でレイアウト変更などに柔軟な対応ができる。
簡単かつ安価に“つながる”
センサデータを集めてクラウドへ転送するIoT-GWの設定コストの大きさを解消し、専門知識がなくても電源をオンにするだけで簡単につながるネットワーク設定とした。これにより、設置期間短縮と設定コストの大幅削減が可能となる。また、Modbus RTU通信プロトコルに準拠しているセンサであれば全て接続できる。
複数拠点での異なったデータ管理が容易(テナント管理)
事務所や工場などの複数拠点で、拠点ごとにアクセスできるデータを分離できるため、それぞれの拠点に閉じたセンサ情報を管理、可視化が行える。
デジタル認証によるセキュリティの確保
IoT-GWには、接続機器が正しいものであることを示すため、出荷時に機器の証明書を埋め込み、その証明書で認証する機能を備えた。従来、パスワード認証で行っていた認証を、デジタル認証機能を備えることでなりすましなどのセキュリティ課題を解決。管理者が入力する第三者に推測されやすいパスワードを利用することなく高いセキュリティを確保できる。
柔軟性を持ったAPI(有償提供)
これまで数カ月かかっていたIoTアプリケーションの開発を大幅に短縮可能なAPIを用意。このAPIを利用することで利用企業自身での短期間の開発が可能となる。
またOKIでは想定用途として、次の例を挙げている。
- 工場向けとしてセンサ設置による工作機械の稼動状況の可視化を実施。故障との相関関係を見出す予防保全システムとしての試行導入など
- 鉄道設備へのセンサ設置により、設備の老朽化、故障との相関関係を見出す故障予兆システムとしての試行導入など