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IoTビジネスで変質するパートナーエコシステム

松岡功

2016-09-29 11:10

IoTビジネスで変質するパートナーエコシステム

 IoT(Internet of Things)活用の取り組みが各産業分野に広がりつつある。ITベンダーにとっては、これまでユーザーだった企業がビジネスパートナーにもなり得る。今後はそうした広がりのあるエコシステムづくりが、IoTビジネスの決め手になりそうだ。

国内企業のIoT利用率は5.4% --IDC調査

 このところ、大手ITベンダーがこぞってIoT活用のためのプラットフォームを提案する動きが活発化している。さらにIoT活用はITベンダーにとどまらず、各産業分野でも既存ビジネスの強化や新規ビジネスの開拓につなげようと注力する企業が増えつつある。ITベンダーにとってそうした企業は、これまでユーザーだった。その関係が、IoT活用では大きく“変質”しそうだ。

 そんなユーザー企業のIoT活用について、IDC Japanが先頃、国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。それによると、回答があった4517社のうちIDCの定義するIoTの利用企業は245社で、利用率は5.4%となった。調査はこの5~7月にかけて、全国の従業員数100人以上の企業を対象にしたもので、2015年の4.9%を0.5ポイント上回った(図参照)。


国内企業のIoT利用率の推移(出典:IDC Japan「国内IoT市場の企業ユーザー動向調査結果」)

 産業分野別に見ると、IoTの利用率が最も高かったのは製造/資源分野で8.5%だった。IDCによると、組み立て製造/プロセス製造分野を中心にさまざまな組み込み機器が、古くからIoTとして活用されてきていることが関係しているという。他の分野では、流通/サービス分野が3.2%、公共/インフラ分野が4.0%、金融分野が3.5%となった。

 利用用途別では、M2M(Machine to Machine)時代の名残りとして自社内の業務効率化やコスト削減を目的とした「社内用途」のIoTが全体の8割以上を占めた。一方、社外顧客へのサービス付加価値向上や新ビジネス創出を目的とした「社外用途」も徐々に広がりつつあるとしている。

 IDCではこれらの調査結果から、「社内用途でIoTを利用する企業は、費用対効果の明確化の難しさ、セキュリティ懸念、技術力不足、人材育成の遅れ、などを課題として認識している。一方、社外用途で利用する企業では、IoTによる事業競争力のさらなる強化や、新規顧客開拓に向けて試行錯誤する取り組みが見られる」と分析している。

ユーザーがパートナーになるIoTビジネス

 ちなみに、IDCでは、IoTとは「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイスからなるネットワークのネットワーク」であり、法人や政府、個人といったさまざまなユーザーが利用するユビキタスなネットワーク環境に対して、管理、監視、分析といった多様な付加価値を提供するものと定義している。

 上記の調査結果もこの定義に基づいていることから、企業の実際のIoT利用率よりも少ない数値で算出されている可能性があると、IDCでは注釈を入れている。

 確かに、先述した全体の利用率5.4%というのは高い数値ではない。ただ、見方を変えれば、これから大きなポテンシャルがあるとも見て取れる。そのポテンシャルも、ITベンダーにとってIoT活用に注力する企業は、単にユーザーとしてだけでなく、強力なビジネスパートナーになり得るというのが筆者の見立てだ。

 したがって、ITベンダーにおけるこれからのIoTプラットフォーム競争は、従来のITビジネスにおけるパートナーだけでなく、各産業分野のユーザー兼ビジネスパートナーとのエコシステムをどれだけ広げていけるかが、優劣を分ける決め手になりそうだ。

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