現在、企業のデジタル化に、もっとも必要とされている技術系の職種は何だろうか?
ウェブサービス、SOA、クラウド、マイクロサービス、コンテナなどを構築するために磨かれてきた、有効性が実証されている技術的なスキルセットの多くは、今求められている包括的なデジタル企業を作るために役に立つ。
しかし、エンドユーザーとの関わりを深めたり、顧客とより直接やりとりできるようになることが必要とされている昨今では、必要とされるIT関連の仕事にも変化が生じている。いまや、企業のIT関連職種には、ビジネス価値を実現することが強く求められるようになっている。
この文脈は、この記事で紹介する、最近McKinseyが発表した、デジタル革命に必要不可欠なスキルセットに関するレポートで挙げられている、デジタル企業で必要とされる職種リストの背景にもなっている。では、McKinseyのSatty Bhens氏、Ling Lau氏、Hugo Sarrazin氏が作成したリストを紹介しよう。
フルスタックアーキテクト。これはアーキテクチャ全般に責任を負う職種で、その対象にはプラットフォーム、OS、データベース、ミドルウェア、インターフェースなど、想像できる限りのインフラが含まれる。Bhens氏、Lau氏、Sarrazin氏の調査によれば、フルスタックアーキテクトは「少なくともソフトウェアエンジニアリングに8年から10年の経験を持ち、1つから2つの中核的なプログラミング言語に関する高い専門性を身につけている」必要があるという。また、ビジネスに対する鋭敏な理解も必要とされる。
DevOpsエンジニア。リリースサイクルのペースは上がり続けており、企業は開発チームと運用チームの連携を取れる人材を必要としている。McKinseyのアナリストたちは、この職種の要件として「ソフトウェアエンジニアリングに5年から8年の経験を持ち、インフラの自動化技術(例:「Chef」「Puppet」など)、クラウドプラットフォーム(例:「AWS」「Azure」など)、および最先端のコンテナ化技術(例:「Docker」)の分野にも足を踏み入れている」ことを挙げている。
プロダクトオーナー。Bhens氏、Lau氏、Sarrazin氏は、この役職は「デジタル製品のミニ最高経営責任者(CEO)」に等しいと述べている。プロダクトオーナーは、製品を直接ビジネスに結びつけ、製品によって得られるROIを徹底的に把握する役職だ。この役職の要件には、「3年から5年の製品管理に関する深い経験と、ビジネス、ユーザーエクスペリエンスのデザイン、技術が交差する領域について、優れたセンスを身につけていること」が含まれる。
デザイナー。ユーザーエクスペリエンス(UX)と顧客体験(CX)は、今日のビジネスが成功するために不可欠なキーワードであり、ITに詳しく、「民族誌学的な調査や、人間中心のデザイン、顧客を相手として短いサイクルでテストと学習を繰り返すことを通じて、顧客の心を掴む」ことができるプロフェッショナルが必要とされているという。デザイナーの要件には、調査の実施やフィールドテストに加え、「ペルソナ、エンパシーマップ、カスタマージャーニーなどのデザインツールの利用」に関する経験が含まれる。
フロントエンドエンジニアおよびモバイルエンジニア。著者らによれば、これらの職業は、「高性能で、拡張性に優れた、洗練されたウェブおよびモバイルユーザーインターフェースの構築」を担う。この職種の要件には、「HTML、CSS、最新のJavaScriptフレームワーク(例:「ReactJS」「Angular.js」など)を始めとするブラウザベースの技術や、iOSやAndroidのもモバイルプラットフォームを含む、ウェブのフロントエンドやモバイル技術に関する高い専門性」が含まれる。
スクラムマスターおよびアジャイルコーチ。動きが速いIT企業は通常、アジャイル開発を採用しており、早いペースで繰り返しソフトウェアをリリースして、開発過程のあらゆるステップでユーザーからの意見を取り入れている。そのために必要なのは、「開発プロセスでチームを管理するスクラムマスター」だ。これらのプロフェッショナルは、「優れたリーダーシップとスタッフの力を引き出すスキル」に加え「技術に対する深い理解と、問題を素早く解決する能力」を持ち、プロジェクトのスケジュールを守り、横道にそれることなく物事を進められる必要がある。
次世代機械学習エンジニア。機械学習は比較的新しいスキルセットであり、McKinseyのアナリストチームの調査では、かなり広範なスキルを持つソフトウェアエンジニアが必要になるという。機械学習エンジニアは、データの扱い方とアルゴリズムの書き方を知っており、変化の速い環境でそれを機能させる方法を知っていなくてはならない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。