Gartner Summit

デジタル変革時代を生き抜くマインド--ガートナーサミットでサキコーポレーション

日川佳三

2017-03-28 07:30

 「激しい変化の中で生き残るには、チャレンジし続ける強い気持ちが重要になる。その業界で常識ととらえられていることに、とらわれていなかったのが突飛な発想につながった」

秋山咲恵氏
サキコーポレーション 代表取締役社長 秋山咲恵氏

 3月16日、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット2017」のゲスト基調講演に、サキコーポレーション代表取締役社長の秋山咲恵氏が登壇。「デジタル・ビジネスを勝ち抜くためのマインドセット〜ものづくりにおけるグローバル競争の最前線で今起きている事〜」と題して講演した。

 サキコーポレーションは、1994年、秋山氏が30歳の時にエンジニアと2人で創業した企業。「電子機器自体がどんどん進化し、勝ち組のプレーヤの顔ぶれが劇的に変化する中、電子機器の中心部分であるプリント基板の業界でサーフィンしてきた感覚」(秋山氏)という。

 「デジタルビジネスを勝ち抜く、と聞いて不安を感じる人もいれば、反対にワクワクする人もいる」(秋山氏)。講演では、よりよい成果を出したり、自分の夢を実現するために、どのようなマインドセットを持つべきかについて、秋山氏自身の経験を交えて解説した。

 同社を創業してすぐに開発した製品が、2次元の検査装置だ。プリント基板の生産ラインにおいて、プリント基板をデジカメで撮影し、ソフトウエアで解析する。これにより、正しく製造されているかを調べる。「世界のトップ企業に売り込み、どんどん世界に出ていった」(秋山氏)

 2次元の検査装置では、8億5000万画素の画像データを撮影し、これをアルゴリズムで解析して、部品に不具合がないかどうかの結果を出力する。これを生産ラインでリアルタイムに実施する。生産ラインでは、12秒に1枚のペースでプリント基板上に1500点ほどの部品を載せる。これを検査する。

新しいチャレンジをし続ける気持ちが重要

 創業当時、工場ラインでは検査装置が普及しておらず、人間が目で見て検査していたという。「検査は価値を生まないので予算が付かず稟議が通らないという時代だった」(秋山氏)。

 そこで秋山氏は、「作ってしまった不良を見つけるのではなく、不良を作らないために検査する」いうキャッチコピーで、生産ラインに直結して入れられる高速な検査装置を売り込んだ。「作ってからの仕分けではなく、リアルタイムにラインをストップして原因を取り除ける」(秋山氏)

 激しい変化の中で生き残るには、新しいチャレンジをし続けるという強い気持ちが重要、と秋山氏は振り返る。さらに、会社の成長ステージによって課題は変わり、これをその都度乗り越えることも大切とした。

 例えば、業績が順調に伸びて会社が大きくなり始めた頃は、守るべきものができて、責任が重くなり、マインドセットが変わってしまったという。組織で仕事をするスタイルに変えることもストレスだった」(秋山氏)

 リーマンショックで業績が急降下した時も、決意を固めるまでが一番大変だった。「起こっていることを腹落ちし、覚悟を決め、人に伝える。このマインドセットを作るのが大変だった。逃げ出すことができなかった」(秋山氏)

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