課題解決のためのUI/UX

乗客に6倍長く歩かせてクレームを減らした空港--待ち時間のUXを科学する

綾塚祐二 2017年06月10日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 仕事でもプライベートな暮らしの中でもなるべく減らしたいものの一つが「待ち時間」であろう。特に作業がストップしたり、拘束されて他のことができない・選択の余地がほとんどないような待ち時間は短いに越したことはない。「待たないで良いようにする」のが本質的な解決策であるが、それができない場合や、できても部分的だったりすることも多い。

 多くの場合長い待ち時間はUXを悪化させるので、待ち時間を減らせない場合でもせめて何らかのUXを改善する施策を打ちたい。今回はそうしたことを考察していきたい。

待つという状況

 まずは(いつものように)ある人が「待つ」という状況の分類から考察してみよう。その人が何かのタスクの実行を他の人やシステムに依頼(コマンドの実行などを含む)し、それが完了するのを待つような場合(「完了待ち」と呼ぼう)と、鉄道やバスを待ったり、あるいは空車のタクシーが通り掛かるのを待つような場合(「到着待ち」)、店舗のレジやテーマパークで列をなしてその人の番を待つような場合(「順番待ち」)、これらが三大分類であろうか。


 もちろん実際のケースではこれらが混ざったり連続したりすることもあるだろうが、これらの要素に分解して考えることは可能であろう。

 分類のもう一つの軸は、待ち時間の長さに関してである。待たねばならない時間の長さが決まっているか、決まってはいないまでもおおよそ予測可能か、予測が難しいか、ということで分けられる。

 長い待ち時間はUXを悪化させがちであるが、待ち時間が予測できず、しかもそのばらつきが大きいような場合は、UXに著しく影響を及ぼす。歩行者用信号機で見られるように、見えづらい待ち時間を明示する、というのはUX改善の施策の基本的な手段の一つである。

 他には、待つ間の行動や居場所の自由度も重要なポイントである。基本的に自由度が低いほどUXは悪化しがちであるし、限られていてもその選択肢次第ではUXを改善しうる。

 そして、待った結果に対する期待度や結果の重要度、価値なども考慮すべき要素である。結果しだいでその後の状況を大きく左右するものごとの場合だと、待っている間の「気がかりさ」が増す。

 一方、信号待ちなどのように、単に次へ進むための制約として待たされている場合は、(時間の余裕などに応じて)「いらいら」が募るであろう。それらはもちろん、「待つ」という体験に大きな影響を与える。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
IT部門の苦悩
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算