2017年の現在では、ITを必要とするユーザー部門がクラウドを直接契約してしまうことが珍しくないように、2025年には、IT部門とユーザー部門との間で、ほぼ同じことができるようになるだろう。また、現在までのように情報システム子会社が存続するビジネスモデルも考えられる。
下の図5「2025年 情報システム子会社の立場が二分、ステップアップのチャンス」では、再雇用者を引き入れた新しいIT部門を作れる機会を示したものである。
図5:2025年 情報システム子会社の立場が二分、ステップアップのチャンス、出典:dss(2017年8月)
管理本部の再雇用者とは異なり、IT部門では業種が異なっても、ネットワークやデータベース、ディレクトリ、アクセス管理など共通的な職務が多い。仮に業種が異なる法人へ2025年に再雇用されても、現役時代の身に付けた技術を有効活用できる。このような職務を若いうちから身に着けることが、「2025年に向けたIT要員の働き方改革」である。
とは言え、この「2025年に向けたIT要員の働き方改革」を推進するために発生する「人・物・金」をどのように抑えるかは課題だ。次の表2は、「2025年までにIT部門が取り組むべき『人・物・金』」である。
表2:2025年までにIT部門が取り組むべき「人・物・金」、出典:dss(2017年8月)
これから企業の情報システム部門には、2025年までに取り組むべき「人・物・金」と、来たるIT業界における「2025年問題」を意識した、新しいビジネスモデルや働き方の取捨選択が求められる。「8年」という時間を生かしていただきたい。
- 石橋正彦
- 大宣システムサービス(dss) 執行役員 リサーチ&コンサルティング アナリスト 日本ユニバック(現日本ユニシス)、ベリタスソフトウェア(現ベリタステクノロジーズ)、ベリングポイント(現PwC)にて金融系システムの開発や災害対策、バックアップ、セキュリティ監査などを担当。ガートナージャパンでは11年にわたり、セキュリティ分野のリサーチおよびアドバイザリーを手掛ける。SI、ベンダー、リサーチ機関での豊富な経験を生かし、現在は大宣システムサービスのセキュリティ戦略や顧客企業へのコンサルティングサービス、本寄稿のような「(40歳以上を中心とした)IT業界のメンタルヘルス」を担う。同社は現在、BPOやITサービス分野でAIやアナティクスを自前主義で構築し、2025年に向けて採算の取れるプライベートクラウドを目指している。