保育所入所選考をわずか数秒で算出するAI技術を開発--富士通研究所など

NO BUDGET 2017年09月01日 07時40分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 富士通研究所、国立大学法人九州大学マス・フォア・インダストリ研究所富士通ソーシャル数理共同研究部門、富士通は、最適な保育所入所割り当てを短時間で自動的に算出する人工知能(AI)を用いたマッチング技術を開発した。

 この技術を、埼玉県さいたま市の申請者約8000人の匿名化データを用いて検証したところ、わずか数秒で最適な選考結果を算出することに成功した。

 さいたま市では、きめ細かい入所選考を行うべく、きょうだい入所への配慮はもちろんのこと、さいたま市独自の「きょうだい入所時の入所タイミング・入所施設・年齢・希望順位」を考慮した入所選考を行ってきた。例えば、7959人の児童に対し、こうした複雑な条件を考慮して311施設に割り当てるケースでは、20~30人の職員が非常に多くの日数をかけて慎重に選考を行う必要がある。

 今回開発した技術は、ゲームの理論を利用してすべてのルールを満たす割り当てパターンが複数存在する場合や、1つも存在しない場合にも、優先順位のより高い人の希望が優先されるような、唯一の割り当てパターンを見つけ出す。

 例えば、8000人の子供がそれぞれ第5希望まで希望を出すと、5の8000乗通りの組み合わせが発生する。計算機を使っても、それらのすべてを1つずつ調べつくす処理を現実的な時間で終わらせることは困難で、調べる順番を工夫することでルールを満たす割り当てを発見できたとしても、その割り当てよりも良い割り当てがないことを保証するのはさらに困難となる。

 今回開発された技術では、入所割り当て先に応じた利得(好ましさ)を点数化し、その点数に基づいて最適な割り当てパターンを見つける。これにより、優先順位の高い人の点数ができる限り高くなる唯一の割り当てパターンを高速に算出することを可能とした。

 さいたま市では、同技術の検証結果を高く評価しており、本格導入にも前向きだ。富士通では、自治体向け保育業務支援システム「MICJET MISALIO 子ども・子育て支援」のオプションサービスとして、2017年度中にサービス化する予定。

 また、同技術は、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」の1つとして、保育所入所選考業務のみならず、組織内の均質な人材配置を行うマッチング、作業員のスケジュールマッチングなど、様々なマッチング業務に利用できるようにする。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化