富士通研、FPGAアクセラレータを活用したWAN高速化技術を開発

ZDNET Japan Staff

2017-12-12 13:24

 富士通研究所は12月11日、FPGAを搭載したサーバを活用することにより、クラウド間の大量データ転送において最大40Gbpsの転送速度を実現する広域網(WAN)高速化技術を開発したと発表した。

 クラウド間のWAN回線は1Gbpsから10Gbpsへの移行が進みつつあるが、近年、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などデジタル技術の発展に伴い、大量のデータがクラウド上に集まり、より高速なデータ転送が求められている。WAN高速化技術では、転送されるデータの圧縮や重複除去によりデータ量を削減することで実効的な転送速度を向上する。しかし、WAN回線が10Gbpsになると、処理すべきデータ量が多く、サーバ内での圧縮・重複除去の処理速度がボトルネックとなっていた。


クラウド環境におけるWAN高速化技術の利用例

 富士通研究所は今回、サーバに搭載したFPGA(Field Programmable Gate Array)をアクセラレータとして活用し、クラウド上での利用が可能で10Gbps以上でも実時間動作が可能なWAN高速化技術を開発した。同技術では、WAN高速化処理における圧縮や重複除去のうち、負荷が重くCPUでの処理速度向上が難しい一部の処理をFPGAで実行。CPUとFPGAアクセラレータを効率よく連携させることにより、WAN高速化技術の効率的な動作を実現した。


FPGA搭載サーバを活用したWAN高速化処理の実装

CPU-FPGA間のオーバーヘッド低減手法の概要

 富士通研究所は、FPGAを搭載したサーバに今回開発した技術を適用し、CPUのみの処理に対して約30倍の高速化を確認。サーバ間を10Gbps回線で接続した実験環境において、最大40Gbpsの実効転送速度を確認した。同技術により、クラウド間でのデータ共有やバックアップなどのデータ転送を高速に行うことが可能となり、さまざまな企業・拠点間で大量のデータを共有し活用する次世代のクラウドサービスを実現する。


実験データでの評価結果例

 富士通研究所は、同技術をクラウド環境で利用可能な仮想アプライアンスに搭載し、実環境での評価を進める。同技術を搭載した製品を、2018年度中に富士通から新規提供することを目指す。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    調査結果が示す「生成 AI 」活用によるソフトウェア開発の現状、ツール選定のポイントも解説

  2. ビジネスアプリケーション

    生成 AI を活用した革新的な事例 56 選 課題と解決方法を一挙紹介

  3. セキュリティ

    最新調査が示すセキュリティ対策の「盲点」とは?|ゼロトラスト、生成AI、サプライチェーンリスクの実態

  4. ビジネスアプリケーション

    ITR調査結果から導くDX浸透・定着化-“9割の国内企業がDX推進中も成果が出ているのはごく一部”

  5. セキュリティ

    パスワードの限界を解決するパスキー認証、標準搭載する「StartIn」のセキュリティ対応力とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]