富士通研究所、「仮想大部屋」を実現する技術を開発

NO BUDGET 2017年09月05日 07時00分

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 富士通研究所は9月4日、ネットワークを通じて仮想的な大部屋を実現する技術を開発したと発表した。同研究所が2015年に開発した部屋全体をデジタル化するUI技術(空間UI技術)を拡張したもので、多拠点間の円滑な共創活動を実現する。

 ものづくりの分野では、設計現場と国内工場、海外工場、品質保証部門などをつないで、現場の課題をタイムリーに短時間で共有し、効率良く解決方法を探る仮想的な大部屋の構想がある。今回の技術はこうしたニーズに対応するもの。


ものづくりにおける仮想的な大部屋構想

 現在、スマート端末の普及やクラウド技術・通信技術の進展により、製造現場などにおける課題を遠隔地でも端末の画面上で共有できるようになっている。しかし、現状はテキストや画像データの共有に限定され、関係者が大人数で共有した画面を活用して議論することは難しい。

 空間UI技術は、1つの拠点内における複数の大画面と端末を連携したコラボレーションを可能にしており、多人数でのデータ共有を効率的に行うことができる。

 しかし、多拠点をつないでデータ共有する場合は、主にクラウドにデータを置いて多拠点から接続するため、データの編集操作や意見交換が繰り返される共創活動では、外部ネットワークの遅延により操作感に影響が出るなど、円滑なコミュニケーションができないといった課題があった。

 今回、データをクラウドではなく各拠点ローカルに持ち、ネットワークの遅延状況に応じて、コンテンツを動かした際の軌跡など不要なデータを削除して必要な差分データのみを同期する「分散データ共有技術」を開発し、円滑な多拠点間のデータ操作を実現した。また、どの拠点からも自由にアクセスする際に発生する操作競合を避けるために、遠隔側の操作状況がわかる「アウェアネス伝搬技術」を開発することで、多拠点間の共創活動における効率を改善した。


分散データ共有技術

アウェアネス伝搬技術

 分散データ共有技術を使うことで、ユーザーのアプリケーション操作は、同じ拠点内のディスプレイや端末にはそのまま共有されるため、リアルタイムに滑らかな操作や共有が行える。他の拠点とのデータ共有では、各拠点までのネットワーク遅延状況に応じて、コンテンツを動かした際の軌跡など不要なデータを削除することにより、効率的な通信を実現する。実験では、多拠点間のデータ共有における遅延は技術適用前に比べ約9割短縮し、3拠点で最大2.1秒、6拠点で最大3.1秒で同期され、またローカルのデータ共有は拠点が増えても一定(0.3秒以下)であることが確認されている。

 アウェアネス伝搬技術を活用することで、相手先が操作しているコンテンツをフラッシュ表示させたり、相手先の人の影を表示させるなどにより遠隔側の状況を知らせることができる。これにより、操作者に対し、相手先で操作中のコンテンツへの操作を自粛するように気づきを与え、操作競合を削減できる。2拠点で共同で写真や手書き付箋を分類するタスクを行う実験を行った結果、同技術を適用しない場合と比較して50%の操作競合(操作競合:本技術適用なし22回、適用あり11回)を抑制でき、作業効率を約26%改善(操作回数:本技術適用なし329回、適用あり241回)できることが確認された。

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