スタイルは3月1日に、人文系出版社と協働して新たなウェブメディア「Socrates(ソクラテス)」を創刊したと発表した。人文系の書籍の世界観を「世界を生きる知恵」としてまとめ、読者と著者、書籍とのより良い出会いにつなげるとしている。
Socratesは「書籍の“抜き書き”を集めたオンラインメディア」。著者のメッセージは書誌情報や広告ではなく、本文そのものに現れるとの考えが基になっている。そこで、書籍の最初の読者である担当編集者が「ここに著者の最も重要なメッセージがある」という箇所を抜粋、掲載することで、著者の意図を読者に知らせるメディアを構築したいと考えた。
こうしたメディアを開設、運営するためには、著者だけでなく出版社の理解と協力が不可欠になる。Socratesは、人文系出版社4社を中心とする運営委員会を組織した。3月1日の開設時点では、運営委員会の4社に2社を加えた全6社が加盟出版社として挙がっている。
Socratesでは、5つのカテゴリに分けて記事を掲載する。「こころの知恵」では芸術、文化、哲学を、「働き方の知恵」ではワークスタイルを、「社会の知恵」では社会科学、「自然の知恵」では自然科学、「身体の知恵」では医学に関する書籍の本文を紹介する。
Socratesでは今後、メディア各社やポータルサイトなどへの記事配信、ソーシャルメディアを活用したプロモーション、加盟出版社の拡大を図りながら、より多くの良書を、より多くの人々に届けるために活動するとしている。
Socrates運営委員会を構成しているのは、晶文社、筑摩書房、白水社、平凡社、スタイル。加盟出版社は亜紀書房、エヌ・ティ・ティ出版、晶文社、筑摩書房、白水社、平凡社となっている
スタイルの代表取締役で、Socrates プロデューサーの竹田茂氏は「自分に必要な書籍を探すために、書店の店頭あるいは書店員のPOP、ネット書店のレコメンドやレビュー、新聞や雑誌での書評、書籍広告などさまざまな手段が用意されている。だが、残念ながらここには当該書籍を執筆した著者のメッセージそのものはない。著者のメッセージはその書籍の本文中に数百ページを使って展開されている」とサイトオープンの背景について話している。