大手ITベンダーは今、企業のデジタル変革を支援するエコシステムの構築や推進に向けて力を入れ始めている。そんなデジタルエコシステムを躍動させる決め手とは何か。
SAPジャパンが推進するデジタルエコシステム戦略
SAPジャパンが先頃、デジタルエコシステムの本格的な活動に向けて、関係するさまざまな企業とのオープンなコミュニティーとして「Business Innovators Network」を発足したと発表した。SAPが米国のSAP Labsシリコンバレーを中心に展開しているデザイン思考を駆使したエコシステムの活動やノウハウを日本でも生かそうという動きだ。
発表会見に臨んだSAPジャパンの内田士郎 会長は、「SAPはこれまでERPをはじめとした業務ソフトを中心にビジネスを展開してきたが、一方で、最近では企業のデジタルイノベーションを支援することにも注力している。今回のコミュニティーはその活動を強力に推進するものだ」と切り出した。
今回の活動の推進役を担うSAPジャパンの大我猛 バイスプレジデント デジタルエコシステム統括本部長が、同社のデジタルエコシステム戦略として挙げたのは次の3つだ。
1つ目は、「パートナーとのエンゲージメント強化」。顧客のデジタル化ニーズに対応できるコンサルティングリソースの増強や、パートナーのサービスとの連携を強化していく。
2つ目は、「SAP Leonardoパートナーの開拓・育成」。SAPのデジタル技術を集約したSAP Leonardoのパートナーコンソーシアムの拡充や、デジタル技術に精通したパートナーをさらに開拓する。
3つ目は、「デジタル変革を具現化するオープンなコミュニティーの立ち上げ」。従来の顧客も含めてイノベーションを志すリーダーが集うコミュニティーということで、これが今回発表のBusiness Innovators Networkである。
右から、SAPジャパンの内田士郎 会長、大我猛 バイスプレジデント デジタルエコシステム統括本部長、SAPのSam Yen マネージングディレクター兼チーフデザインオフィサー、コマツの四家千佳史 執行役員スマートコンストラクション推進本部長