あらゆる企業には違いがある。だが、先進的なデジタル企業が持つ違いには共通点がある。筆者が所属するForrester Researchは、それらの共通の差異を浮き彫りにするフレームワークをいくつも生み出したが、これには新たなビジネスのルールが含まれている。われわれは、このルールが、2020年までの企業の成功と失敗を分けると考えている。
Forrester Researchは最近、この調査レポートについて説明する「Digital Rewrites The Rules Of Business」(デジタル化が変えるビジネスのルール)と題するウェビナーを行った。このウェビナーでは、ビジネスの新たなルールについて説明し、デジタル変革を進めようとする企業が直面するいくつかの課題について議論している。突き詰めれば、すべては顧客が何を望んでいるかを理解し、その理解を変革プロセスの方向性を定める指針にすることから始まる。
ウェビナーのプレゼンテーションに続いて行われた質疑応答では、2つの大きなテーマが浮上した。デジタル変革における各エコシステムの役割と、デジタル変革が及ぶ範囲だ。
デジタルビジネスエコシステム
ビジネスの変革は、デジタルエコシステムによって加速され、デジタルエコシステムの上に形作られる。デジタルエコシステムには、顧客の個人的な価値のエコシステム、デジタル体験のエコシステム、デジタル化された業務運営のエコシステムが含まれる。
顧客の個人的な価値のエコシステムは、顧客によって異なっている。これを理解するには、スマートデバイスにインストールされているアプリを考えてみるといいだろう。そのリストは人によって違う。ユーザーが頻繁に使うアプリは、ユーザーにもっとも価値を提供できるアプリでもある。
例えば筆者は、「Apple TV」の操作にApple TV用のスマートフォンアプリを使っているが、これはリモコンが手元にないことが多い上に、アプリでは音声インターフェースが使えて、簡単に操作できるからだ。アプリを使えば時間が節約できる。筆者がスマートフォンでよく使っているアプリを分析すれば、筆者の個人的な価値のエコシステムについて、多くのことが明らかになる。顧客はよりよいデジタル体験を期待しているが、これは日常的に使っているさまざまなアプリで得た経験によるものだ。