デジタルツインの導入がもっとも増えているのは、製造業、石油・ガス業界、航空宇宙産業、自動車業界などを含む、資本集約的な産業だ。
ただしデジタルツインは、小売業、医療業界、スマートシティのパイロットプロジェクトなどでも利用されている。
Deloitteは、デジタルツインが利用されている新たな事例をいくつも紹介している。ここでは、その中でも興味深い事例をいくつか挙げてみよう。
- Maserati:この自動車メーカーは、デジタルツインを利用して製品の設計を加速している。仮想的なモデリングとシミュレーションを行うことで、必要となる高価な現実のプロトタイプの数を減らしているとともに、物理的な風洞テストや試験走行の必要性も減り、開発時間が30%短縮された。
- Intermarche:このフランスのスーパーマーケットチェーンでは、IoT化された陳列棚や販売システムから得られたデータを使って作成した実店舗のデジタルツインによって、マネージャーがリアルタイムで在庫に関する知見を得たり、店舗レイアウトの有効性をテストしたりすることができるようになった。
- General Electric(GE):同社は在庫管理を改善するために、デジタルツインを使って米ネバダ州にある施設のサプライチェーンと工場の生産プロセスをモデル化している。
- Dassault Systems:この医療ソフトウェア企業は、医者が患者の健康状態をリアルタイムで把握するために利用できる、現実に近い人間の心臓のシミュレーションライブラリを構築している。
大企業は、IBMやSAPを含む大手テクノロジ企業の支援を受けることも含めて、デジタルツインについて検討すべき時期を迎えているのかもしれない。
Deloitteはレポートの中で、「デジタルツインは企業が積極的にデータに基づく意思決定を行う能力を大きく強化し、効率を高め、潜在的な問題を回避できるようにする」と述べている。「さらに、デジタルツインがあれば、仮想的なシナリオを安全かつ経済的に検討することができ、『未来を試す』ことが可能になる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。