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東南アジアのデジタル広告市場を語る--AnyMind Group

阿久津良和

2018-06-11 07:00

 AnyMind Groupは6月7日、各拠点のマーケティング担当者をオンラインで参集し、各導入事例や2020年に向けた取り組みを紹介した。シンガポール共和国で起業した同社は2018年3月から稼働したマレーシアを含めた10拠点でデジタルマーケティングやインフルエンサーマーケティング、リクルーティングソフトウェアの提供といった事業を展開している。

 今回はそのうちシンガポール、タイ王国、インドネシア共和国、ベトナム社会主義共和国、台湾、日本、中華人民共和国香港特別行政区、マレーシアと8拠点の市場動向を披露した。

東南アジアのデジタル広告市場動向

 まず、シンガポールの広告出稿割合は新聞やテレビが強固なシェアを持つ。その背景には両者が先駆者であり、スマートフォンはここ数年で普及したデジタルデバイスという事情がある。だが、同国は東南アジアのなかでもテクノロジに対して先進的であり、「40~50代のモバイル利用率が急増している」(AnyMind Group Manager, Advertiser Engagement 田代光氏)という。

 そのためデジタル広告の成長率が著しく、2020年は2強と肩を並べるまで成長し、「(新聞やテレビに)引けを取らない規模感に達する」(田代氏)と同社は推察する。その中で強い支持を集めているプラットフォームがFacebookとYouTubeだ。いずれも7割前後の利用率を誇り、デジタル広告の出向先として注目を集めている。だが、同国は多民族国家のため、コンテンツの内容については宗教的配慮など細心の注意を払わなければならない。

 シンガポールでの事例としてAnyMind Groupは、観光庁の下部組織であるJNTO(Japan National Tourism Organization)の広告配信キャンペーンを披露した。「日本の紅葉をシンガポールの旅行者に発信するため、秋を特徴としたコンテンツを作成。また、五感に訴えかけるための工夫も取り込んだ。日本人なら鈴虫の鳴き声に風情を感じるが、シンガポールでは異なる。このようなケースが往々にしてあるため、その国の人間が受け入れやすいようにローカライズし」(田代氏)、その結果として目標PV数とキャンペーン申込数を達成した。

 タイのデジタル広告市場規模は2017年時点で約426億円と前年度比31%の成長率を誇る。2018年は約492億円まで成長すると予測し、シンガポールと同様に「FacebookやYouTubeに広告予算を割いている状況」(AnyMind Group Account Director 齋藤陸氏)だ。他方でEC(電子商取引)も盛り上がりを見せ、Lazadaや11 Street、Shoppeeといった日本では聞き慣れないECブランドが市場を席巻する。

 日本ではAmazonが圧倒的な存在感を放っているが、「個人的意見だが、バンコクでは店舗購入を好む消費者が多い。進出のタイミングを図っているのだろう」(齋藤氏)と推察した。他方でクレジットカード利用率も低く、ECサイトの決済方法は限られていたものの、政府と銀行が主導する決済方法やAlipay、LINE Payの浸透で拡大傾向にあるという。

 そのタイにおける事例としてAnyMind Groupは、ANA(全日本空輸)およびバンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパークによる、裕福層のオンラインユーザーを対象にオフラインイベントを開催。ホテルの会場にビジネスクラスシートのモックアップを設置し、参加者によるSNSでの拡散を目的とした。結果として「オンライン予約数やサイト流入数は獲得し、キャンペーン自体は成功したが、来場者が想定よりも低い。日本では(予約者の)約9割は来場するが、タイは6割を切った」(齋藤氏)。国民性の違いを示した1例だろう。

 東南アジアのなかでも、約2億6351万人(2017年)と1番の人口を抱えるインドネシアは広告市場もトップクラス。モバイル普及率は70%、デジタル広告市場規模も2017年は約1690億円。2018年予測も約2138億円に達するという。ただし、「インターネット人口の増加は停滞中だが、スマートフォンの利用率向上や、平均年齢29歳という若さは他国と比べても(デジタル広告市場として)魅力的だ」(AnyMind Group CSO 丸山仁氏)。そのインドネシアもYouTubeが43%の利用率、Facebookが41%と2強を誇るが、IM(インスタントメッセンジャー)はWhatsAppが40%に達し、家族はもちろんビジネスシーンでも利用されている。

今回ビデオ会議でプレゼンテーションを行ったAnyMind Groupの各国担当者
今回ビデオ会議でプレゼンテーションを行ったAnyMind Groupの各国担当者

 インドネシアの国民性についてAnyMind Groupは「テレビの影響や他の人間に興味を持って行動する人が多いため、インフルエンサーマーケティングは拡大傾向にある」(丸山氏)と説明した。また、世界15位を誇る面積はECにも影響を及ぼし、「インドネシアはグローバル企業の進出先として2番目に選ばれるケースが多く、資金投入といった投資案件も増えている。2~3年後には地元のEC企業も潤沢な資金を背景に広告展開を強化するだろう」(丸山氏)とデジタル市場として高い価値を持つ国であると述べた。

 AnyMind Groupはオムロンの海外法人であるPT. OMRON Healthcare Indonesiaの事例を次の様に紹介する。「インドネシアでは、レバラン(イスラムの断食月であるラマダン明けの大型連休)などの多客期に合わせ、食料品や飲料品を購入して実家に帰省する習慣がある。昨今は中流階級も増加し、父親や母親の健康を気づかうために血圧計を贈る提案キャンペーンを実施した」(丸山氏)。発表時点ではキャンペーンは終了していないものの、YouTubeやInstagramではKPIを超えたという。

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