ルネサス エレクトロニクスは9月4日、製造機械向け「AIユニットソリューション」を用いた実証実験をGEヘルスケア・ジャパンと共同で実施。不良品の発生を最大約65%削減し、大幅な生産性向上が可能であることを確認したと発表した。
実証が行われたのは、GEヘルスケア・ジャパンの本社日野工場。同工場は、CT(コンピュータ断層撮影)やMR(磁気共鳴画像)、超音波診断装置などの医療機器を製造しており、世界に約450あるGEグループの生産拠点のうち、モノのインターネット(IoT)の活用で生産効率などが特に優れている「“Brilliant Factory”を牽引する工場」の最初の7カ所に選ばれている。
AIユニットソリューションは、既存の設備や機械に「AIユニット」という後付け型の装置を取り付けて、異常検知や予知保全を実現するもの。
学習済みニューラルネットワークモデル(学習済みモデル)を1日程度の短期間で適用することが可能で、センサデータの収集から加工、分析、評価、判定までの一連の処理をリアルタイムに行える。エンドポイントの製造機械側で正常/異常を判断し、異常検知の結果のみを送信するため、通信データ量を増やす必要はない。異常な波形を検知した際は、リアルタイムにアラームを出して製造を一時停止する。
実証実験の概要(出典:ルネサス)
実証実験は2017年8月から2018年6月まで実施された。製造機械にAIユニットを取り付け、異常検知による不具合の早期発見や不良品の低減効果に対する検証を行った。AIユニットの試作機に学習済みモデルを組み込み、製造機械に取り付けて実施された。製造機械から出力される波形データを計測することにより、従来は見えなかった加工の状態を把握できた。