Tim Cook氏は欧州のプライバシー監視機関に対して現地時間10月24日、データとプライバシーをめぐる世界規模の「危機」は実在すると述べ、人々の好み、恐れ、望みが、個人データを収集する企業の間で「軍隊のように効率的に」取り引きされていると警告した。
同氏は、 欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)を称賛する熱のこもったスピーチを繰り広げ、そうした個人情報の取引が「データ産業にまで発展している」と主張した。
「日々の情報から極めて個人的な情報まで、われわれの個人情報が武器化され、軍隊を思わせるほどの効率的なやり方で、われわれ自身に向けられている」と、Cook氏は民間企業による個人情報の利用を批判した。
個人データを収集について警鐘を鳴らしたTiim Cook氏
提供:European Data Protection Supervisor/YouTube
ベルギーのブリュッセルで開催中の第40回データ保護プライバシーコミッショナー国際会議(ICDPPC)で行ったこの基調講演でCook氏は、プライバシーとデータ収集をめぐり、以前に名指しで批判していたFacebookに言及することはなかった。
しかし同氏は、個人データの大量収集は行動の監視につながるとして、警戒感をあらわにした。
「われわれの好き嫌い、友人や家族、人との関係や会話、願望と恐れ、希望と夢に基づいて、日々、巨額のカネが動き、無数の決定がなされている」とCook氏は述べた。
「こうした断片的なデータは、1つ1つを見れば無害だが、それが入念に集められ、統合され、取引され、販売されている。このプロセスが行き着くところまで進めば、永続的なデジタルプロフィールが作成され、企業が人々のことを本人よりも詳しく把握できるようになる」(同氏)
Cook氏はまた、個人プロフィールの大量収集に基づく人工知能(AI)の発展は、「怠惰であって、効率化ではない」とした。
こうしたデータ収集が招く「結果を取り繕う」べきではないと同氏は主張し、「これは監視だ」と断じた。
Cook氏は、5月に発効した欧州のプライバシー関連規則であるGDPRを支持し、米国もこれにならい、GDPRに相当する連邦レベルの規則を作るべきだと提言した。
プライバシーに関する法規制は、4つの主要な権利を守るものでなくてはならないとCook氏は語り、その4つとして、収集される個人データをできるだけ少なくする権利、企業によって収集された情報にアクセスする権利、収集される情報の内容を知る権利、収集目的を知る権利を挙げた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。