非営利の人工知能(AI)研究組織OpenAIは米国時間3月11日、「利益に上限のある」営利企業であるOpenAI LPを創設したと発表した。今後、OpenAIはOpenAI LPを指し、元の組織はOpenAI Nonprofitと呼ばれることになるという(Nonprofitは「非営利」の意)。

提供:OpenAI
組織の使命を果たしつつ資本調達力も高めたいが、両方の適切なバランスをとれる手段が存在しないため、営利企業と非営利組織のハイブリッドとしてOpenAI LPを創設することにしたという。OpenAI LPの運営はOpenAI Nonprofitの取締役会が担う。
「これにより、抑制と均衡に配慮しながら、コンピューティングと優秀な才能への投資を急速に拡大して、自分たちの使命の実現に取り組むことが可能になる」(OpenAI)。
OpenAI LPの基本的な考え方は、使命を達成できた場合に出資者や従業員が上限付きのリターンを得られるというもの。これにより、「スタートアップのような株式で資金を調達し、従業員の関心を引くことができる」という。上限は事前に交渉するものとし、初回ラウンドの出資者の場合、出資額の100倍と定められている。上限を超える利益は、元のOpenAI Nonprofitが保有することになる。
OpenAIは2015年、Elon Musk氏、Sam Altman氏、Peter Thiel氏というIT業界の著名人らから10億ドルもの寄付を得て創設された。2019年2月には極めて高度な言語モデル「GPT-2」を発表したが、偽情報の生成などに悪用されることを懸念し、全ての詳細情報を公開しなかった。この判断に対し、一部で反論もあがっていた。