ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの専業ベンダーであるマイクロストラテジー・ジャパンは3月22日、企業向けBIプラットフォーム「MicroStrategy 2019」を発表した。すでに2月から提供を開始している。
MicroStrategy 2019は「HyperIntelligence」「Transformational Mobility」「Federated Analytics」で構成される。導入コストはで1ユーザーあたり700ドルだが、プラットフォームをユーザー企業が用意する場合は1ユーザーあたり300ドルとなり、ボリュームディスカウントも用意。期間限定のキャンペーンも展開する。
HyperIntelligenceは、Office 365やSalesforceなどウェブブラウザ経由で動作するソリューションに対して、必要な情報へアクセスする「HyperCard」を新たに搭載。Transformational Mobilityは、スマートフォンやタブレット用アプリケーションをノンコーディングで構築できる。Federated Analyticsは、MicroStrategy以外のBIツール向けコネクタを用意して、「大企業におけるSVOT(Single Version of the Truth:唯一の真実)を実現する」(プレジデント 印藤公洋氏)という。
マイクロストラテジー・ジャパン プレジデント 印藤公洋氏
国内知名度はさほど高くないMicroStrategyだが、丸紅、ライオン、ヤフー、富士フイルムICT、住友商事などの大手企業が導入している。印藤氏は「営業やマーケティングではなく、製品開発に投資してきた」と語り、年間の研究開発(R&D)費用は1億ドルに及ぶという。
印藤氏は新製品となるMicroStrategy 2019について「経営層に限らず、すべてのビジネスパーソンがインテリジェンスにアクセスできる環境」と狙いを語った。「モダンアナリティクス」「オープンアーキテクチャ」「エンタープライズプラットフォーム」と3つのコンセプトを持つMicroStrategy 2019は、同じく3つの視点にフォーカスする。
Federated AnalyticsはこれまでOffice 365に限定したBIツールコネクタを、Power BIやTableau、Qlikといった他社製BIツールに拡大することで大企業への導入をうながす戦略的な意味合いを持つ。
Transformational Mobilityはビジネスで自然に使われるようになったモバイルデバイスから、その場で営業や引き合い案件の状況、実施中のキャンペーンなどを確認する利便性の拡大を指す。
そしてHyperIntelligenceは、意思を素早く決定するためのソリューションに位置付け、瞬時に必要な情報を提示する機能群を表している。詳細は後述するが、印藤氏は「3カ月ごとに新機能を追加し、この方向で製品強化を図る」と説明した。
左下の赤いポップアップがHyperCard。ウェブブラウザ経由であれば企業名や人物名、商品名にマウスオーバー時にポップアップが現れる。なお、表示するデータはユーザー企業が指定する
HyperIntelligenceの具体的な機能が冒頭紹介したHyperCardである。多くの読者はBill Atkinson氏が開発したソフトウェアを連想されると思うが、こちらはBIサーバのインメモリデータベースに格納した情報をウェブブラウザの拡張機能を通じて、SalesforceやSAP、Office Onlineなどで表示したコンテンツにリンクを張る。利用者は別ソリューションにサインインせずに、ビジネスに必要な情報を参照する仕組みだ。
現時点ではGoogle Chromeに対応し、今後はInternet ExplorerやMozilla Firefox、Microsoft Edge、Safariへの対応も予定しているが、Internet Explorerがサポートするウェブ技術に落とし込めるか不明確だとマイクロストラテジー・ジャパンは説明する。
HyperCardのデザインやデータ項目はユーザー企業が行う必要があり、データの自動リフェッシュ機能は未実装。利用者の自動タイムアウトや再サインインなどで更新される。