第3回では様々な環境で有効な「Chrome Enterprise」の機能について解説いたしました。仮想デスクトップ環境(VDI)のクライアントとしても利用可能でWindowsユーザーにもメリットがあると紹介しましたが、今回は「実際のビジネスシーンで本当にChromebookとChrome Enterpriseは使えるのか?」をメインに解説いたします。
実際のビジネスシーンを想定
前回までにChromebook+Chrome Enterpriseは無限の可能性を持っており、様々な環境で有効であるとお伝えしましたが、本当に業務で使えるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。有効なソリューションであることは確かですが、万能という訳ではなく弱点や苦手な分野もあることは事実です。
「パソコンを1台だけ持っていれば業務を完結することができる」
ビジネスシーンにおいてこれはとても重要なことで、特定の業務のために違うパソコンを利用するなどはとても手間のかかることです。働き方改革の推進の観点から見ても会社にいないと使途ができないことになり、効率の悪い働き方となってしまいます。
では、Chromebookが1台あれば業務を完結することができるのでしょうか?
筆者はChromebookとChrome Enterpriseについてセミナーなど色々な場所で話をしていますが、「あなたの会社はChromebookで業務は完結していますか?」という質問をもらった場合、その回答は恥ずかしながら「いいえ、できません」と毎回答えています。なぜかというと、
- 社内の統合基幹業務システム(ERP)がChromeに対応していない
- NASにデータを保存する習慣の部署がある
という2点の問題があるからです。
ERPに関してはChromeブラウザに対応するようになればChromebookでもアクセス可能で、NASについてもChromeウェブストアにある「File System for Windows」というアプリケーションを利用するか、Chromebookの機能である「ネットワークファイル共有」を利用することでこちらもChromebookでNASのデータにアクセスすることが可能です。
ですが、前者はシステムの変更が必要になり簡単に対応することはできず、後者はWindowsのPCに比べると使い勝手が悪いため、Chromebookで使うには少し不便となってしまいます。
では、Chromebookだけでできないことや向いていない業務とはどのようなものでしょうか。
- Windowsのアプリケーションを必要とし、アプリケーションを起動して作業する業務
- 高度な動画編集作業
- 印刷系アプリを使った印刷業務
- ネットワークに接続していないオフライン作業
- ドライバーが必要な外部デバイスを利用した業務
このような業務を行う方にとってChromebookを使うことは適していません。
上記のすべてがChromebookでできないわけではありません。オンラインでの動画編集ツールやGoogleクラウドプリントを使って印刷も可能です。ですが、業務での利用を考えた場合、使いやすさや効率化などを優先しなければならないため、Chromebook以外の端末を選択せざるを得ません。