第4回:痒い所に手が届く? 届かない?--ビジネスシーンでの課題とヒント - (page 2)

浜野崇 (シネックスジャパン)

2019-04-08 07:15

メリット、デメリットを的確に把握する

 このようにできないこと、向いていない業務は確かにあります。しかし、逆に言えば、これら以外のことはChromebook+Chrome Enterpriseを使うことで業務を進めることができます。

 個人的な意見になりますが、日本人はできないことが少しでもあった場合に否定的な考えをもってしまう傾向があると感じています。「なんだ、Chromebookはオフラインで使えない機能があるのなら業務として使えないな」といった意見があることも事実です。

 しかし、オフラインのみで業務を進める割合はそこまで多いでしょうか。

 昨今のビジネスシーンにおいて、メールの確認、見積書の作成、ドキュメントの参照など行う際には、インターネットなどのネットワーク接続は必須条件になっており、オフラインになってしまった時点で業務遂行が難しい現状があるといえるでしょう。このオフラインで使えないというネガティブなポイントにフォーカスするよりも、セキュリティが強化され管理コストが削減されるなど、ポジティブなポイントを重視した製品選定が今後は重要になってくるのではないでしょうか。

 製品選定で意識したいポイントとしては、デジタルトランスフォーメーションへの対応が挙げられるでしょう。クラウドネイティブのアプリケーションが台頭し、業務アプリケーションはクラウドへ移行されつつあります。第5世代移動通信(5G)のサービス開始など、現状よりさらにネットワークへの依存が強まることは疑いのない事実です。今後はChromebookなどクラウド利用を前提とした製品がビジネスシーンで必要となるはずです。

 働き方改革というキーワードにおいてはどうでしょうか?

 働き方改革というと働く場所にとらわれないテレワークや勤務時間を自由に選択することができる、といったことが多く取り上げられています。各企業によって働き方改革の取り組みは様々な方法がありますが、ポイントの一つには同じ場所、同じ空間では働かないがコラボレーションなどの共同作業は必要不可欠ということがあります。

 今までは、会社の会議室に全員が揃って会議を行い、ホワイトボードにアイデアを出し合うということが主流でした。最近では、コミュニケーションツールが多く発表され、会議室に全員が集まることをせずに参加者が好きな場所から会議に参加し、共有したファイルなどを使って自由にアイデアを出し合う、という会議が多く見受けられます。

 このような環境においてChromebook+Chrome Enterpriseは「Hangouts Meet」いうビデオ会議ツールを使うことで簡単にビデオ通話が可能になり、G Suiteの共有機能を使うことで他の参加者とアイデアのコラボレーションを行うことができます。これらの機能に加えてGoogleは「Jamboard」というビジネス向けのホワイトボードを発売しました。これはChromebookだけでは難しいインタラクティブなホワイトボードへの接続を補う製品として期待されています。

 痒い所に手が届かないから使えない訳ではなく、届かない場所もあるかもしれませんが、一つのポイントに届かないだけで全体に届くことができ、かつ痒み止めまで塗ってくれる、これがChromebook+Chrome Enterpriseの特長です。

 次回は平成から令和に変わる時代の変化の中で、Chrome Enterpriseの方向性と未来について解説いたします。

(第5回は4月下旬にて掲載予定)

浜野 崇
シネックスジャパン ソリューション営業部門 テクノロジーソリューション本部 ビジネス開発部長
2015年に入社。働き方改革や第3のプラットフォームなどIT市場に対して戦略的にビジネス展開を推進するために、様々なお客さまへ最適なテクノロジー&ソリューションの提供と支援を行う。海外の最先端テクノロジーのトレンドや米国での成功事例をいち早く日本市場に紹介し、付加価値を生み出すことのサポートも担当。文教市場においても豊富な経験や導入支援といった活動を通じて、日本のICT教育インフラの加速化を教育機関に対して展開している。

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