ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation:RPA)ベンダー大手の英国Blue Prismは4月3日、同社の年次カンファレンス「Blue Prism World 2019 London」にあわせ、“インテリジェントオートメーション”が仕事に与えるインパクトに関する調査結果を公表した。
それによると、ナレッジワーカーの83%が人工知能(AI)やロボットといった「デジタルワークフォース」と共存することに抵抗がないことが明らかになった。さらに78%は「新たなスキルを習得する準備をしている」と回答したという。Blue Prismでは「この調査結果で『人間の仕事がロボットに奪われる』という一般的な考えと、現場の意識は異なることが明らかになった」としている。
2018年12月にイギリス、アメリカ、日本、オーストラリア、フランスの約5000人のビジネス意志決定者とナレッジワーカー、技術者を対象にオンラインで調査したもの。回答者はいずれも250人以上の組織で働いており、ほとんどの組織では何らかの自動化ツールやプロセスが導入されているという。
ナレッジワーカーの83%が「デジタルワークフォース」との共存に抵抗がなく、78%が「新たなスキルを習得する準備をしている」と回答した
「AI脅威論」は世界的に根強い。2013年に英国オックスフォード大学の研究グループが公開した「The Future of Employment(従業員の将来)」では、「現在の仕事の47%は、今後20年間にAIやロボットで自動化されるリスクがある」と予測している。また、一般的には「約70%の従業員が、自動化の普及で失業すると懸念している」と言われている。
今回の調査では、そうした一般論が現状を反映していないことが明らかになった。同調査では、失業の懸念を抱いているナレッジワーカーは37%に留まった。Blue Prismでは「RPAの導入でメリットを享受するナレッジワーカーや製造現場は、その効果を実感している」としている。
中でもビジネス意思決定者はRPAを高く評価している。「RPAが世界的な生産性問題の解決策である」と回答したのは88%で、「インテリジェントオートメーションが世界的な生産性問題の解決策である」との回答(83%)を上回った。
また、ナレッジワーカーの78%が過去12カ月間ですでに日常業務の一部を自動化したと回答した。なお、ナレッジワーカーの34%が「今後5年間で自動化を導入せず、人的な労働力だけで業務を行った場合に、企業は競争力を維持できない」と考えているという。ちなみに、ビジネス意志決定者の92%は「自社のビジネス全体に自動化プロセスを拡張する計画がある」と回答している。
Blue Prism CEO Alastair Bathgate氏
共存の“カギ”は企業文化改革
とはいえ、すべての企業や組織がRPAやインテリジェントオートメーションといった技術に対してポジティブというわけではない。
Blue Prismで最高経営責任者(CEO)を務めるAlastair Bathgate(アレスター・バスゲート)氏は「先進的な技術の導入には企業文化が大きく関係する。アジャイルやDevOpsといった開発手法を取り入れながらデジタル化を推進する新興企業がある一方、大規模組織はこうした動きが遅い」と指摘する。