オランダのハーグに所在する欧州刑事警察機構(Europol)は現地時間5月16日、警察機関の国際的な連携により、「GozNym」というマルウェアを用いて4万1000の被害者からおよそ1億ドルを強奪しようとしたサイバー犯罪ネットワークを壊滅に追い込んだと発表した。
Europolによると、GozNymのネットワークは、コンテンツに対する制約がゆるいホスティングサービスや、マネーミュールのネットワーク、暗号化ソフトウェア、スパマー、プログラマー、オーガナイザー、テクニカルサポートといったさまざまな犯罪サービスを提供する、「サービスとしてのサイバー犯罪」というコンセプトを具現化したものだという。このネットワークは、ロシア語が用いられている、犯罪関係の地下フォーラムで自らのスキルを宣伝していた。
GozNymによって11の企業と金融機関が攻撃を受けた。
米ペンシルバニア州ピッツバーグの連邦大陪審は、この犯罪ネットワークの構成メンバー10名に対して、被害者のコンピューターをGozNymマルウェアに感染させ、窃取したログイン時の認証情報を用いて被害者の銀行口座から金銭を窃取しようとしたという罪状で起訴した。また、そのうちの5名はロシアに居住しており、逃亡中であるとEuropolの発表に記されている。
米司法省(DOJ)の米国時間5月16日付けの発表のなかで、米連邦検事のScott W. Brady氏は「国際的な法執行機関は、多国間をまたがる匿名ネットワークを実際に崩壊させ、壊滅に追い込むうえで、各機関の連携協力が唯一の手段だと認識している」と述べ、「GozNymによる犯罪の構成メンバーを、4つの国家機関が協力し、同時に起訴することは、サイバー犯罪の調査方法や訴追方法におけるパラダイムシフトを象徴している」と続けている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。