オープンソース企業の名前を挙げろと言われたときに、すぐにIntelの名前を思い浮かべる人は多くないだろう。しかし同社は、その状況を変えようとしている。Intelは自社イベント「Open Source Technology Summit」(OSTS)で、同社が開発しているディストリビューション「Clear Linux」のメジャーアップデートと、Intelのプロセッサを利用するプログラマー向けのツールキットについて発表した。
なぜIntelはこのような取り組みを行っているのだろうか。Intelはこの疑問に次のように答えている。
現代のデータセンターのあり方を変え、データ中心時代を招いたソフトウェア定義インフラは、オープンソースによって成立している。今日では、ほとんどのパブリッククラウドがオープンソースソフトウェアで動いている。Intelの新たなコントリビューションは、自動車業界や製造業、小売業などの新たな分野も含めて、あらゆるものがソフトウェアで定義される未来を作るための準備だ。
具体的には、同社は何をするつもりなのだろうか。
Clear LinuxはローリングリリースモデルのLinuxディストリビューションだ。Intelはこのディストリビューションを、主流のLinuxカーネルにあまり手を加えずに、x86プラットフォーム向けにパフォーマンスを最適化し、セキュリティを強化している。Clear Linuxは通常Linuxが使われるあらゆる用途に利用できるが、特にクラウドとコンテナに利用されることを念頭に設計されている。
新しいインストーラーが導入されたことで、Clear Linuxはようやく21世紀のOSと呼べるものになった。以前のインストーラーは、控えめに言っても時代遅れだった。ただしClear Linuxでは、今でもIntel独自のアップデート・パッケージマネージャー「swupd」を使用している。swupdはほかのLinuxディストリビューションでは使われていないため、使い方をマスターするまでは多くのユーザーを困惑させるだろう。
新しい開発者向けエディションは、開発者にIntelのハードウェアを最大限に生かせるように設計されたLinuxを提供するだけでなく、インストールコマンド1つで開発者が必要とするあらゆるツールが使えるようになる「基本的なプログラマー向けバンドル」が用意されている。例えば、C言語の開発者向けには「c-basic」バンドル、コンテナプログラマー向けには「containers-basic」バンドルといった具合だ。