デスクトップ型ロボティックプロセスオートメーション(RPA)ソフトウェア「UiPath」を提供するUiPathは6月13日、RPAの導入対象業務の選定を効率化、高速化するための「RPAスカウトサービス」の提供を開始した。税別価格は150万円。
今回のサービスは、SAP製アプリケーションが出力するログを可視化して、UiPathが分析してユーザー企業に分析結果を報告する。ログの可視化には独CelonisがSaaS型で提供する「SAP Process Mining by Celonis」を活用する。
新サービスは「プロセスマイニング」と呼ばれる手法を活用する。プロセスマイニングは企業内で活用されるさまざまなシステムに蓄積されるイベントログデータを抽出して、プロセスを最適化することが狙い。業務プロセスにかかっている時間など定量的に分析して業務プロセスを最適化できるようになるという。
Celonisでは、「ケースID」「アクティビティ」「タイムスタンプ」の3つのログをもとに分析する。例えば、発注書を起票し、発注書を送付、入庫を記録、請求書の受領を記録――といった業務プロセスでそれぞれの作業にかかる時間などを3つのログをもとに把握して、可視化する。手戻りが発生した場合の作業や負荷がかかっている作業など課題がある作業を発見できる。Celonisでは購入から支払いまでの「Purchase to Pay」、受注から回収までの「Order to Cash」などの業務プロセスを可視化して分析できる。
今回のサービスでは、SAPアプリケーションからログを抽出するための“コネクター”をユーザー企業の環境に組み込んで1カ月や1年の期間でログを収集、Celonisで分析する。分析した結果をレポートとしてユーザー企業に納品する。この分析レポートでは、分散入力と集中入力の違いから自動化が必要な業務を特定する。自動化した場合の効果の見立ても算出できる。
UiPath クライアントソリューション本部 Business Consulting Team コンサルタント 末廣満氏
RPAスカウトサービスの背景についてUiPathのクライアントソリューション本部Business Consulting Teamでコンサルタントを務める末廣満氏は「どういった業務にRPAを入れればいいか分からない、定量的に把握したいといった企業の声に対応した」ものと説明する。
RPAで手作業を自動化する企業は多いが、適用業務の選定では、現場部門にヒアリングした情報をベースにして定性的に検討することが多い。そのため何らかの数値をもとに定量的に判断することが難しいとされている。
また、業務に適用した場合にRPAがどれだけの効果を出せるのかも判断することも難しいと指摘されている。今回のサービスは、RPAを適用する業務をどれにするのか、どのプロセスならばより効果を得られるのかなどの判断を支援することができるものとして提供される。
Celonisの画面。プロセスのつながりを示すとともにどの作業に時間がかかっているのかも表示する
Celonisでの分析結果。右上にある業務ほどRPAの適用効果が高くなる
税別価格は1回の分析サービスで150万円。分析の対象となるログの期間は「1カ月でも1年でもいい」(末廣氏)。業務によっては年間を通して仕事量の繁閑の差が激しいものもある。経理では月末と月初の仕事量が多い。だが、財務では年度末の決算が一番忙しい場合がある。今回のサービスでは、Celonisで期間を絞り込んで分析することでRPAの適用業務を選定することが可能という。