NTTテクノクロスは8月19日、映像向け圧縮技術「H.265/HEVC」を用いて、膨大な画像データをモバイル回線などでも高速かつ効率的に転送できるサービス「SmartFileUploader」の提供を開始すると発表した。
近年、技術者不足や業務効率化を背景に、設備・インフラ保守作業といったさまざまな分野で衛星画像・航空画像・ドローン撮影画像など遠隔から撮影した画像を活用するケースが増加しているとNTTテクノクロスは説明する。だが、これらの高解像かつ大量の画像データを遠隔の撮影地から送るには外部記憶媒体に保存して送るため、伝送に時間がかかったり、記憶媒体の紛失などによる情報漏えいのリスクがあったりと安全面が懸念されていたという。
これらの課題を受けてNTTテクノクロスは、NTT研究所が開発した「画像圧縮ライブラリ」に8Kを超える超高精細画像への対応や、可逆圧縮機能などの保守作業に必要とされる機能を追加し、大量の画像を圧縮して安全に効率的に転送するサービスを開発した。
SmartFileUploaderのサービスイメージ(出典:NTTテクノクロス)
SmartFileUploaderの特徴は以下の3つだ。
- 高画質を保ちながらファイルサイズを通常の10分の1以下に圧縮
H.265/HEVCを静止画向けとして採用するだけでなく、静止画に特化したチューニングを行うことで、JPEG方式で圧縮された画像データやTIFF(非圧縮データ)を高画質のまま約10分の1以下のファイルサイズに圧縮可能となった。また圧縮による画質低下が気になるユーザーに向けて、画質を完全に復元できる可逆圧縮機能も搭載している - 8Kを超える超高精細画像に対応
点検などの保守作業では、微細な変化を捉えるため8Kを超える超高解像度の画像が要求されることがある。そこでSmartFileUploaderは、放送や映像配信サービスでは利用されない8K以上の解像度にも対応した - 圧縮と転送を同時に行い時間短縮
クラウドストレージと連携してファイル転送と圧縮処理を同時に実行することで、転送時間を大幅に短縮する。また、クラウドストレージからのダウンロード、元の画像フォーマットへの復元なども自動的に行うことができ、効率的に作業を進めることが可能
税別価格はアップロードアプリ・ダウンロードアプリともに年間2万4000円(ライセンス)。なお、コンテンツ管理プラットフォーム「Box」の契約が別途必要になる。対応するファイルフォーマットやクラウドストレージに関しては、要望に応じたカスタマイズが可能だとしている。