横浜美術館、NTTテクノクロス、NTT東日本神奈川事業部、アクアビットスパイラルズの4者は8月5日~9 月1日にわたり、横浜美術館で開催中の「横浜美術館コレクション展」の作品「いのちの木」において、画像認識AI(人工知能)サービス「かざして案内 for Biz」の実証実験を行っている。いのちの木は空間全体と作品とし、空間内に展示されている39点の作品が実証実験の対象だという。
横浜美術館コレクション展のいのちの木
かざして案内 for Bizは、案内看板や建物、商品などにスマートフォンをかざすことで経路案内や観光情報などを表示するサービス。NTTが開発した。アクアビットスパイラルズが提供するQRコードとNFCタグに対応するクラウドコントロール型情報発信デバイス「スマートプレート」にスマートフォンをかざすと設定されたデジタルコンテンツを表示する。
NTTのAI技術「corevo」の1つである「アングルフリー物体検索技術」により、斜めからかざしたり前に人がいたりしても対象物を約9割の精度で認識するという。また、必要な参照画像数は従来の10分の1程度なので、準備の負担低減につながるとしている。
かざして案内 for Bizにより、来館者はスマートフォンを展示作品にかざすと作家名、作品名、制作年、素材、寄贈者が画面に表示される。横浜美術館の担当者によると、これらは通常キャプションボードに記載されている情報だが、今回は壁面全体が作品なのでキャプションボードの代わりに同サービスを活用することになったという。
かざして案内 for Bizをパウル・クレー《内なる光の聖女》に使用した様子。「Safari」で開くと接続しやすい(出典:横浜美術館)
かざして案内 for Bizの特徴について、NTTテクノクロス エンタープライズ事業部 第二ビジネスユニット エンジニアの末永ありさ氏は「画像を認識して情報を表示するサービス自体は他社も提供しているが、専用アプリをダウンロードする必要がある。来館者にとって単発の利用のためにアプリをダウンロードするのはハードルが高いと思うので、ブラウザで利用できるようにした」と述べた。
NTTテクノクロスの末永氏
サービス自体は既に展開しているため、今回の実証実験では「美術館などのミュージアム系施設におけるかざして案内 for Bizの有用性」「来館者が同サービスを利用する際の操作性」を検証するとしている。
各社の役割は、横浜美術館が同実証実験における展示の運営・作品情報の提供、NTTテクノクロスがかざして案内 for Bizの提供・利用状況の把握、NTT東日本が横浜美術館で構築済みの「ギガらくWi-Fi」による通信、アクアビットスパイラルズがスマートプレートの提供を担当する。