出光興産(出光昭和シェル)は、製油所の情報セキュリティ強化を目的に、「インダストリー4.0」における唯一の推奨通信規格である「OPC−UA(OPC-Unified Architecture)」を用いた次世代のデータ通信システムを構築したと発表した。複数の製油所や事業所からなる大規模生産システムの主要な通信方式を「OPC-UA」を用いてシステム構築するのは世界初の試みという。
OPC-UAは、複数の異なるベンダーのアプリケーションやOS間の通信を、高いセキュリティで実行できるプラットフォーム非依存型の通信規格。さまざまな機器の自動化やスマートファクトリーを支える技術として注目されている。
製造業におけるIoT活用の重要性が増す中、社会インフラを狙ったサイバー攻撃の脅威が高まっており、ウクライナでは2015年と2016年に、発電所に対するサイバー攻撃が原因と思われる大規模停電が発生、こうしたことを背景に同社は、今回の取り組みを実施した。
同社は北海道製油所、千葉事業所、愛知製油所、徳山事業所の4事業所のヒストリカルデータベースのほぼ全ての通信方式を「OPC−UA」を用いるシステムに更新した。ヒストリカルデータベースとは、製油所における装置や制御システムの稼働率、温度、圧力といったさまざまな情報を格納しているデータベースを指す。
これにより、製造現場の制御システムとITシステム間のインターフェースを統一し、高度な生産体制を構築できるだけでなく、従来の通信方式と比較し、外部からの不正アクセスによる悪質な攻撃の危険性を大幅に低減できる。