企業はROIだけでなく「ROX」の改善に注力せよ

松岡功

2019-09-05 07:00

 本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回はITに関連する気になる調査レポートとして、PwC Japanグループ(PwC)が先頃発表した「世界の消費者意識調査2019」を取り上げる。

PwCが説くROX(体験からのリターン)の重要性

 「PwCは企業の成功を判断する指標として、従来の投資効果(ROI:Return on Investment)に加え、カスタマーエクスペリエンス(顧客の体験、CX:Customer Experience)に着目した指標を導入すべきだと考えている。企業はもっとCXに投資したほうがよい、というのがPwCの考え方だ」

 この一文は、PwCが先頃発表した消費者の購買活動に関する年次調査レポート「世界の消費者意識調査2019」日本語版の冒頭部分から抜粋したものである。

 CXに着目した指標とは何か。PwCはそれを「体験からのリターン(ROX:Return on Experience)」と呼び、「ROXの評価により、企業は、消費者と自社ブランドの相互作用に直接関係する部分への投資が、どれほどの収益を創出しているかを理解できるようになる」と説いている。

 すなわち、企業にとってはROIだけでなくROXも重要というわけだ。ROXというのが耳慣れない言葉だったこともあって、筆者はこの調査レポートに興味を抱いた。内容はPDFファイルで公開されているのでご参照いただくとして、ここではその中から、レポートの最後にまとめられている、小売業を対象とした「日本においてROXを改善すべき6つの理由」のうちの1つに焦点を当てたい。

表1:日本においてROXを改善すべき6つの理由(出典:PwC)
表1:日本においてROXを改善すべき6つの理由(出典:PwC)

 なお、この調査は、PwCが日本を含む27の国と地域の2万1480人のオンライン消費者を対象に実施し、消費者の購入形態などの動向を考察したものである。

ROXの改善へEXあってのCXだと肝に銘じよ

 日本においてROXを改善すべき6つの理由は、表1に示した通りである。ここでは、この中から1つ目の「CXとEXを融合させる」に注目したい。EXとは「エンプロイーエクスペリエンス(従業員の体験、Employee Experience)」のことである。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    2025年はクラウドを標的にする攻撃が増加!?調査レポートに見る、今後警戒すべき攻撃トレンド

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. セキュリティ

    Microsoft Copilot for Security--DXをまい進する三井物産が選んだ理由

  5. 経営

    プロが教える“使える業務マニュアル”--作成・運用を実現する3つのポイント

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]