しかし、その戦略は決して安穏ではない。「他社と売り上げを比較すると大きく下回る。MicrosoftやGoogleを恐竜とすれば、われわれはネズミのようなもの。(恐竜に)踏まれず生き残る方法を模索している」(山田氏)と述べつつ、2度目となる挑戦について、「PaaSモデル」「日本での実績」「全社でのコミット」と3つの特徴を掲げた。
「(米国市場撤退を決断した)15年前とは違い、4万社以上がKintoneを利用している。また、社長の青野(サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏)と一緒に取り組んでいる。『グローバル展開に成功したIT企業はいない』というが、われわれは挑戦する」(山田氏)と気炎を上げた。

Kintone CEO Dave Landa氏
サイボウズといえば「チームワークあふれる社会を創る」を企業理念に掲げ、信頼を獲得する5つの行動「Action5」など独自の風土や制度が印象的だが、2度目の挑戦はこれらを米国に持ち込むことを強調する。
「米国ではChuck Blakeman著『Making Money is Killing Your Business』やKristen Hadeed著『Permission to Screw Up(邦題:奇跡の会社)』、Jason Fried and David Heinemeier Hansson著『Remote: Office Not Required(邦題:強いチームはオフィスを捨てる)』が売れている。ミレニアル世代に代表される米国の若者がビジネスで台頭する時代だからこそ、AppleやGoogleは快適なオフィスを用意し、若者を会社に集めている。だが、サイボウズの理念をシリコンバレーで話したところ、Googleを辞めて弊社に参加する若者もいた」(山田氏)
山田氏はビジネス環境の変化を述べつつ、「シリコンバレーの大半は雇用される負け組。それを目の当たりにする若者はNPO(非営利団体)やボランティアに余暇を使う。われわれの文化や制度はIT企業として新鮮に映るようだ。だからこそ可能性を感じている」と挑戦の意義を語った。