日本国内では一定の存在感を示しているサイボウズだが、同社は2019年度の事業戦略で強調した通り、米国の市場開拓に挑戦している。同社は2001年に米国市場に進出したものの、多様な理由から3年で撤退という屈辱を経験した。
だが、2014年から再び米国市場への進出に挑戦している。
その概略を11月7日から2日間、幕張メッセで開催した「Cybozu Days 2019」でサイボウズ 取締役副社長 山田理氏と米Kintoneの最高経営責任者(CEO)Dave Landa氏が語った。
サイボウズ 取締役副社長 山田理氏
IT市場において日本が優位に立っていると認識する読者諸氏は多くないだろう。GAFAに準(なぞら)えるまでもなく、大半が米国ITベンダーのそれを利用している企業が大半だ。
この状況下において、米国展開は「市場動向」と語りつつも、IT業界への挑戦を重ねる山田氏は「われわれは成長を続けているが、ネズミのようなもの。Microsoftに代表される大手IT企業は恐竜だ。『グローバル展開に成功したIT企業はいない』といわれるが、挑戦し続ける」と語る。同社は2001年に米国市場に進出したが、当時は「文化」「ブランド・資金力」「OKY(お前がここへ来てやってみろ)による孤立」によって撤退せざるを得なかった。
だが、山田氏は2014年にグローバル事業担当を拝命し、たった1人で再び米国市場に挑戦せざるを得なかったという。
サンフランシスコを中心に米国各所へ拠点を設けるKintoneは、当初は企業名としてCybozuを採用していたものの、Kintoneブランドの浸透にあわせ企業名も改称。その背景にはブランド構築が大きかったとLanda氏は語る。2015年第1四半期から順調に利益を重ねる同社はローコード/ノーコード市場において、認知度を高めてきた。
米国市場での顧客数は340社を超え、ForresterとGartnerのマジッククアドラントを見ても、2017年第4四半期時点はチャレンジャーに位置する同社だが、2019年第3四半期にはストロングパフォーマーまで駆け上っている。
だが、ローコード/ノーコード市場はMicrosoftの「Power Apps」やGoogleの「App Maker」、Salesforceの「Force.com」など100を超えるプレーヤーがおり、群雄割拠の有様だ。
Landa氏は「われわれは『ローカル』『パートナー』『インダストリー』を重視。しっかりと顧客を捕まえ、パートナー販売の拡大と業種に特化したマーケティングに注力する」と戦略を語る。「米国市場への挑戦(から得た知見や成果)はグローバルで通用する」(Landa氏)と今後の展望をつまびらかにした。