どうする新居選び? データセンターのスペックを総ざらい(後編) - (page 2)

細川涼子 (Dell Technologies)

2019-11-26 06:45

建物・耐障害性

 分譲マンションを購入するのを想像してみてください。大事なマイホームを選ぶのに、地震や水害のリスクが高い立地はできれば避けたいものです。

 そして、建物については、デザインだけではなく、万一に備えての耐震構造、頑丈な基礎が備わっているか。また、非常用電源などの設備、そのあたりが気になりますね。台風でマンションの地下設備に浸水が発生し、エレベーターやトイレの利用に影響が出たというニュースも耳に新しいものです。

 これと同じく、データセンターにも立地建物そのものや設備に高い信頼性が求められます。

 選び方としては、現在のデータセンターの建物や設備の条件を確認し、最低でも同等以上。現在のデータセンターの冗長性に課題があれば、それを満たせるデータセンターを選びましょう。(免震床の導入など)下記のポイントを参考に、各データセンターが要件を満たしていることをチェックします。

ポイント満たすべき条件
1.立地の安全性●自然災害リスクの低い地域であること(内閣府、各地方自治体の提供するハザードマップを確認)
●地盤が強固であること
2.建物の安全性●耐震・免震・制震のいずれかを満たすこと
●浸水リスクを避けたフロア構成であること(電源設備などが2階以上に設置されている)
3.設備の冗長性●電力が異なる変電所から別ルートで供給されること
●無停電電源装置(UPS)
●自家発電装置(N+1以上の冗長構成)
●自家発電機の備蓄燃料の確保(何時間稼働できるか)
筆者作成

 さて、日本には活断層のあるエリアが多くありますが、それらに近いデータセンターはすべて避けるべきでしょうか。また、利便性の面では便利な「中心街」や「郊外」は、日本では川や海の近くであることも少なくありません。では、川のそばのデータセンターは一様に避けるべきでしょうか?

 日本は全体的に自然災害リスクの高い国であり、すべての自然災害リスクを「避けられる場所」を選ぶのは、住宅でもデータセンターでも容易ではありません(なおかつ十分な広さの用地が確保でき、アクセスが便利で……となるとさらに難しくなるでしょう)。

 実際には、「災害に影響を受けない立地を探す」という考えのみではなく、「発生した場合に被害を減らす仕組み(建物・設備)を整えている」かどうかを合わせて選定する必要があります。

 ただし建物が丈夫でも、交通に影響が出てオンサイトできない、道路が通れず燃料供給のタンクローリーがデータセンターに到着できないなど、周辺環境が被害を受けた場合の影響はデータセンター事業者ではコントロールできません。候補となる複数のデータセンターを比較する場合は、立地のリスクの高低は評価項目に加えましょう。

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