(前回までのあらすじ)
あるメーカーの情報システム部の中野さん、会社では「データセンター移転プロジェクト」のリーダー、プライベートでは結婚する彼女と一緒に住むための新居探し……。期せずして二つの「引越」に向かい合うことになってしまった。
第1回では「新居で一緒に住む家族」にあたる「データセンターに今後収容するシステム」の計画を確認した。第2回では、家でもデータセンターでも、要望は「(1)最低限・必須の条件」「(2)引っ越しを機に実現したい希望」「(3)あればより良いという条件」――の3つに分けて、優先順位を付ける必要があることを確認した。第3回では、実際にデータセンターの主要なスペックについて確認した。
*****
データセンター選びの下調べをしながら、彼女と新居の内見を進める中野さん。郊外の元分譲用マンションが気に入ったようです。河原がベランダから見え日当たりもよく、再開発の進むエリアなので近くに小さなモールもあり、通勤にも便利な人気の街です。
これならそろそろ契約できそう? そう思っていた矢先、大きな台風がやってきました。土砂崩れや堤防決壊のニュースを聞いて、彼女の表情が曇ります。
「やっぱり川沿いって、浸水被害がありそうで怖いな」
「えっ、1階じゃなければいいんじゃない?……それに賃貸だし、そこまで気にしなくても」
「でも、トイレが使えなくなったりするんでしょう? なんだか不安」
ま、また一から物件探しをやり直しか?! 焦る中野さん、データセンター選びの考え方を逆に応用して、本当にこの物件は避けるべきなのかどうか確認できるかもしれません。
*****
前回はデータセンターの基本スペックのうち「広さ」「契約形態」「ロケーション/アクセス」「コスト」、そしてデータセンター特有の項目である「ラック当たり電力」「空調設備」「ネットワーク」について見てきました。
今回は後編として、「建物・耐障害性」「オペレーション(運用代行)」「セキュリティ設備」「利用者の利便のための施設・設備」について見ていきましょう。