NECは11月28日、長良川河口堰で実施したアユの遡上数を自動で計測するシステム実証の結果を明らかにし、計測品質の均一化や計測業務の効率化の効果を確認したと発表した。
今回の実証は、水資源機構とともに2019年4~8月にかけて実施された。水資源機構では、長良川河口堰の運用開始以降、河川環境保全を図るための環境変化の調査として、河口堰の魚道を遡上するアユの稚魚の調査を、遡上が確認され始める4~6月末までの間、ほぼ毎日実施している。これまでの調査では、魚道にカメラを設置し、日の出から日没まで録画した映像(約12時間)を目視で計測していたが、より効率的な計測方法を目指し、人工知能(AI)を用いた自動計測システムの検討・実証を行った。

実証実験の概要(出典:NEC)
今回開発したシステムは、魚道に設置したカメラ映像をクラウド上に保管し、あらかじめAIで学習させた稚魚の泳ぎ方からアユどうかの魚種判定を行い、自動でアユの遡上数を計測するというもの。実証により、天候や日照条件に左右される屋外の映像においても約94%の精度となる計56万匹のアユをほぼリアルタイムで計測し、目視での計測と比較して、計測品質の均一化や計測業務効率化の効果が確認できたという。
NECは、今回の実証を踏まえ、魚道での計測調査を同様に実施している他の施設への応用・展開を視野に、2020年度のシステム実用化を目指すとしている。