海外コメンタリー

2020年、"デジタルプロダクト"の時代へ

Forrester Research 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-01-30 06:30

 この10年間で、テクノロジーは驚くほどのペースで進化してきた。この点については誰もが同意するはずだ。そして、デジタルビジネス時代の到来を告げた先進テクノロジーは日を追って収れんし、発展し続けている。こういったテクノロジーの進化によって、われわれが今日使用しているすべての製品は2030年までにその姿かたちを変えているはずだ。

デジタル変革は過去のものに

 2019年の終わり時点で、あらゆるテクノロジーサービス企業が、デジタル変革における専門性を提供すると主張していた。しかし、変革とは何なのだろうか?残念ながら、あまりにも多くのテクノロジー担当幹部が、デジタル変革とはITスタックをモダナイズしてクラウドに移行することだと考えており、あまりにも多くのマーケティング担当幹部が、デジタル変革とはチャネルマーケティングを加速させるとともに顧客エクスペリエンスを向上させることだと考えている。こうした要素が必要なのは間違いないが、それだけでは不十分だ。デジタル変革はもっと奥深いものであり、本質的には顧客にとっての価値の創造と、売上高の増大を実現する方法を再構成するということなのだ。

 過去10年で筆者が見出したことは、ほとんどの企業がソフトウェア駆動型の企業になるために自社の運用モデルを変革する、つまりテクノロジーを用いて、顧客にメリットをもたらす新たな方法を生み出すという本質的なニーズを満足できていないという点だ。つまり、自動車メーカーは自動車を製造するのではなく、ソフトウェアとテクノロジーを使い、人々によるA地点からB地点への移動を支援する企業へと舵を切り、銀行は金融サービスを提供するのではなく、ソフトウェアとテクノロジーを使い、顧客による金融目標の達成を支援する企業へと舵を切り、ファッション関連企業は衣服を製造するのではなく、顧客による快適性やファッション性、衣服に対する欲求の追求を支援するテクノロジー企業になるのだ。

 多くの企業は過去5年間、価値命題の変革ではなく、旧来のビジネスモデルを強化するデジタル顧客エクスペリエンスの導入、そして手直しに力を入れていた。こういった変革によって、ある程度の知覚価値(サービスの品質や価格への納得感)が顧客にもたらされるが、それはさほど長続きはしない。顧客エクスペリエンスが進化するとともに、知覚価値は色あせていく。そして、ほどなくして新たなデジタルエクスペリエンスが登場し、お互いは似たりよったりなものに感じられるようになる。これが、次の10年にあらゆる業態、規模の企業でより本質的な変革がみられると筆者が確信している理由だ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]