データ活用のレベル差が企業にもたらす経済的な影響度--スプランク調査

渡邉利和

2020-03-18 07:00

 Splunk Services Japanは3月17日、報道機関向けに説明会を開催し、グローバルで実施した調査「What Is Your Data Really Worth?(データの真の価値とは)」の結果について明らかにした。同調査は米SplunkとEnterprise Strategy Group(ESG)が共同で実施したもので、米国、英国、ドイツ、フランス、中国、日本、オーストラリアの7カ国、金融、テクノロジー、製造・資源、通信・メディア、ヘルスケア・ライフサイエンス、小売、公共機関、大学・研究機関の8業界の、経営幹部およびIT意志決定者1350人を対象に行われた。

 調査では、調査対象企業の「データ活用の成熟度」を、「ダークデータ(把握も定量化もされていない未活用データ)の調査と活用に対する関係者の意欲」「データ調査のために最適化された最新のツールやスキルセットの普及度」「組織全体でのデータ運用の有効性」の3つの評価基準に基づいて、「データデリバレイター」(社内データをまだフル活用できていないグループ。運用して価値を引き出せているデータの割合はわずか32%にとどまる)、「データアダプター」(データ戦略に重点を置き始めたグループ。ただし、まだ発展途上で、社内データの使用率は平均41%にとどまる)、「データイノベーター」(データ活用を通じて収益面とビジネス面で成果を上げている最も成熟したグループ。社内データの48%を業務でリアルタイムに使用可能)の3段階の成熟度レベルに分類している。

 この結果、グローバルではデータリバレイターが49%、データアダプターが40%、データイノベーターは11%という結果になった一方、日本企業だけに注目した場合、データイノベーターの基準を満たした企業は存在せず、データリバレイターが74%、データアダプターが26%で、調査対象7カ国中で最下位という結果になっている。

 また調査では、データリバレイター、データアダプター、データイノベーターの各成熟段階に応じて業績などにも差が見られるという。端的に言えば、データ活用の成熟度が向上すると純収益が向上すると同時にコスト削減効果も大きくなることに加え、顧客満足度の向上や顧客維持率(リテンション)も高く、意志決定も迅速になるなどの成果が得られ、競争優位を得ることができるという結果になっている。

 日本法人 代表/エリア ヴァイス プレジデントの福島徹氏は、日本の調査結果についての補足説明として、「経営上のあらゆる意志決定の支援/プロセスにデータと分析を活用している企業の割合」という調査では日本がグローバルで1位(33%)という結果になっていることを紹介し、「日本企業がデータの活用をおろそかにしているということではないが、テクノロジーの導入、スキル開発、組織体制への投資が他国よりも遅れている」との分析を示した。そして、「日本でも“データイノベーター”のカテゴリに分類される企業が1社でも2社でも出てくるようにサポートしていきたい」と語った。

 なお、調査レポートは同社のウェブサイトでダウンロードできる。また、数分程度で実行できる「評価ツール」もウェブサイト上で公開されており、調査と同様の判定基準で自社のデータ活用の成熟度を判定したり、社内データの総合的価値を見積もったりすることができる。

データ活用の成熟度の定義

データ活用の成熟度の定義

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