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「AI病院」の実装に向けたプロジェクトを開始--内閣府らが立ち上げ

國谷武史 (編集部)

2020-06-11 08:22

 内閣府と日本医師会、日本ユニシス、日立製作所、日本IBMは6月10日、内閣府の第2期「戦略的イノベーション創造プログラム」における「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」の社会実装に向けたプロジェクトを開始すると発表した。ソフトバンクと三井物産も協力機関として参加し、2022年度の社会実装を目指すとしている。

 記者会見したプログラムディレクターの中村祐輔氏(東京大学名誉教授)は、同プロジェクトについて、「日本が目指すSociety 5.0の中で、医療分野でのAI(人工知能)やビッグデータの活用を通じて、医療関係者や患者、家族らの負担を軽減すると同時に高度な医療サービスを提供すべく、医療AIの社会実装を進めていきたい」と語った。

AIホスピタルプロジェクトの概要
AIホスピタルプロジェクトの概要

 同プロジェクトでは、具体的に病院などの医療機関に加え、民間の健診センターや保険会社などが利用できるプラットフォームを構築する。臨床などのさまざまなデータを分析し、アプリケーションを通じて画像診断や問診、治療方針の提案などでAIが医師を支援する。現在は、先端研究と医療現場間に大きな知識や情報格差があるほか、先端の診断や治療方法などを普及させる上で、技術の標準化やデータ解釈などの厳格な規定が必要となるなどの課題があるという。

 活動の中では、セキュアなデータベースの開発や音声認識によるテキスト化、高感度な検査方法を実現するためのAI活用といったサブテーマも設ける。中村氏は、「『AIホスピタル』と聞くと、(機械が診察するような)冷たい医療になると危惧する声もあるが、現在は多様なデータを活用して総合的に判断する医療になりつつある。AIホスピタルが実装され医療従事者の負担が軽減して時間に余裕が生まれる。医療の根源である、思いやりのある医療を現場に取り戻すことがゴールになる」と取り組む意義を強調した。

 プロジェクトには日本医師会も参加し、新たに「AI医療推進センター」を設立する。現場で安心して利用可能なAIの品質を確保するために、プロジェクトにおけるAIの成果を評価し、活用方法などのアドバイスを提供することにしている。

 日本医師会の横倉義武会長は、「医療現場の疲弊が社会問題となっており、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によってさらに深刻化している。医療の質の向上と負担の改善を図る上でAIは重要であり、産業界とも連携して取り組む」と表明した。

医療AIプラットフォームの利用イメージ
医療AIプラットフォームの利用イメージ

 民間企業の役割では、日本ユニシスが医療AIプラットフォームのサービス事業基盤の設計と構築を担当し、モデル事業の実行支とプラットフォーム上での提供サービス企画・開発を実施する。日立製作所は同プラットフォームのサービス事業基盤の設計、プラットフォ-ム上で提供するサービスの企画・開発・提供や外部サービスベンダ-の調査、スクリーニングを担当する。日本IBMは、医療支援のAI開発における技術提供と世界での取り組みを通じて得た知見によるサービス基盤拡充の支援とアプリケーション開発を担う。

 また協力機関では、ソフトバンクが医療AIプラットフォームにおける基盤での5G(第5世代移動体通信サービス)を含む通信ネットワークやユーザー認証機能などを提供する。三井物産はアジア地域で病院事業を展開する経験を生かし、AIホスピタルの国際展開などを支援していくという。

記者会見した日本医師会の横倉義武 会長(左)とプログラムディレクターの中村祐輔 東京大学名誉教授
記者会見した日本医師会の横倉義武 会長(左)とプログラムディレクターの中村祐輔 東京大学名誉教授

 中村氏によれば、秋頃にも実装化に向けた具体的なサービスや利用者などを定めて検証に着手するという。参加企業の関係者によれば、今回の医療AIプラットフォームが実現することにより、全国の医療現場でAIの活用が進むことが期待されるとしている。

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