非営利の人工知能(AI)研究組織であるOpenAIは米国時間6月11日、企業が「GPT-3」のAIモデルをAPIを通じて利用できるようにする、初の商用製品を発表した。限定ベータ版として公開されるこのAPIを、顧客はセマンティック検索、感情分析、コンテンツモデレーションなど広範な用途で活用しているという。
多くのAIモデルは特定用途向けに設計されているが、OpenAIのAPIは汎用的な「テキストイン、テキストアウト」のインターフェースを提供し、英語を使った幅広いタスクで応用できるようにしている。
このAPIは、OpenAIの巨大なニューラルネットワークで、文章生成言語モデル「GPT-3」を用いてAIモデルを実行する。最近公開されたGPT-3は、1750億個のパラメーターを使用して、「メタ学習」を実現している。つまり、文章完成などのタスクのために、GPTニューラルネットワークを再訓練する必要はない。
この新しいAPIにテキストプロンプトを与えると、そのテキストパターンに合致する文章を完成して、返そうとする。ユーザーは、例文の小規模もしくは大規模なデータセットを訓練したり、人間によるフィードバックを与えたりすることで、特定タスクの性能を向上させることができる。
既に、オンライン学習プラットフォームのQuizletがこのAPIを使い、単語が文章でどのように使われるかを示す例文を自動生成している。またRedditが、APIによるコンテンツモデレーションの方法を探っているほか、法的研究プラットフォームのCasetextが、セマンティック検索機能を向上させるために活用したい考えだ。クラウド型コミュニケーションプラットフォームのMessageBirdは、自動スペリングツールや文法ツール、予測入力機能の開発で役立てている。
OpenAIは、新興企業インキュベーターY Combinatorの前社長であるSam Altman氏と、電気自動車メーカーTeslaの最高経営責任者(CEO)のElon Musk氏が、2015年に設立した。同グループの研究・導入は、「人工的な一般知能」に焦点を当てており、OpenAIはこれを「最も経済的な価値ある仕事で人間を凌ぐことができる、高度に自律的なシステム」と定義している。
同社がAPIを限定ベータ版としてリリースするのは、一つに多目的AIツールに付随するリスクを考慮してのことだ。
OpenAIはブログで、「ハラスメント、スパム、過激化、アストロターフィングなど、明らかに有害な方法で使われている場合は、APIへのアクセスを打ち切る。その一方で、この技術がもたらすあらゆる結果を予測できないことも認識している」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。