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芸術作品に隠れている類似点を見つけ出すMITのアルゴリズム

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-08-21 06:30

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の学際的研究所であるMIT Computer Science & Artificial Intelligence Laboratory(CSAIL:MITコンピューター科学・人工知能研究所)の博士課程に在籍しているMark Hamilton氏は、オランダのアムステルダム国立美術館で2019年に開催された「レンブラントとベラスケス展」を訪れ、互いにまったく関係のない一部の芸術作品が、気味が悪いほど似通って見える点に驚きを禁じ得なかった。

 この美術展では、フランシスコ・デ・スルバランが17世紀に描いたスペインの宗教画「聖セラピオン」と、ヤン・アセリンが同時代に描いた油絵の「威嚇する白鳥」が対にして展示されていた。これらの画家は互いの実生活では接点がなかったとみられるものの、2つの作品には明確な類似点が見て取れる。

フランシスコ・デ・スルバランの「聖セラピオン」とヤン・アセリンの「威嚇する白鳥」
リサーチャーらは、まったく接点がないとみられるものの、よく似ている絵画から着想を得た。
フランシスコ・デ・スルバランの「聖セラピオン」(左)とヤン・アセリンの「威嚇する白鳥」(右)
提供:MIT CSAIL

 これによりHamilton氏は、芸術の長い歴史の中で、まだ見出されていない隠れた関連について考えるようになった。そして、同氏とそのチームはMicrosoftの協力を得て、画像検索テクノロジーをさらに発展させ、数千年にわたって生み出されてきた膨大な数の絵画を読み込んで、予想もしなかったテーマやモチーフ、視覚的様式の類似を見つけ出すための新たなアルゴリズムを開発した。

 「MosAIc」と名付けられたこのシステムは現在、メトロポリタン美術館とアムステルダム国立美術館の目録データベースを処理しているところだ。このシステムは、1枚の画像を起点にして、ユーザーが興味を抱いている文化や領域といった観点でのつながりを明らかにでき、オリジナルのクエリーに最も類似した多数の作品を短時間で洗い出せるようになっている。

 例えば、「Dutch Double Face Banyan」(18世紀後半にオランダで着用されていたリバーシブルな男性用部屋着)を指定すると、MosAIcは中国の陶器製の像との類似点を返してくる。このつながりによって、16~20世紀の中国からオランダに向けた市場における陶器類などの流れを追いかけることができる。


MosAIcに「Dutch Double Face Banyan」を指定すると、中国の陶器製フィギュアとの類似点を返してくる。
提供:MIT CSAIL

 MosAIcの開発にあたり、リサーチチームは画像取得システムとともに、「k近傍法」(k-NN:k-Nearest Neighbor algorithm)と呼ばれるアルゴリズムを使用した。k近傍法は、例えば製品のレコメンデーションなど、類似した対象を検索するために広く用いられているアルゴリズムだ。

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