働きすぎや仕事でのストレスが原因でメンタルの不調を訴える人は多く、企業の喫緊の課題となっています。
英国政府が主導した労働力調査(PDF)の結果、2018年と2019年の仕事に関連したストレスやうつ病、不安症の症例数の合計は60万2000件で、1280万日の労働日数が失われていることが明らかになりました。また、世界保健機関(WHO)が主導した最近の調査では、うつ病や不安障害が生産性の損失で世界経済に毎年1兆ドルのコストをかけていると推定されています。
日本でも、コロナ禍で人々の生活と働き方が大きく変わるなか、厚生労働省が初めてメンタルヘルス全国調査を実施する方針を固めました。今後、企業が従業員のメンタルヘルスを管理し、より働きやすい環境を提供することは優秀な人材の確保と継続して働いてもらうために重要なだけでなく、企業の責任となりつつあります。
ストレスの大きな要因は時間外労働
長時間労働や残業の問題は、職場のメンタルヘルスの一因となっています。9カ国で実施したCitrixの最近の調査によると、オフィスワーカーの86%が自分の希望する勤務時間外に働くことが当たり前になっていることがわかりました。これらの従業員のうち、47%が毎日、あるいは、ほとんどの日にこのような時間外労働をしています。
私たちは、デジタル化で仕事が減ると信じてさまざまなテクノロジーの導入を受け入れてきましたが、実際のところどうだったでしょうか?
しかし、人工知能(AI)と機械学習が真に成熟したら、職場で大きく役立つ可能性を秘めています。現在はまだAIは主に支援のメカニズムですが、将来的には従業員のメンタルヘルスを改善する可能性もあります。
仕事量の管理と優先順位付け
残業が蔓延し、仕事量が急増している中、AIは個人の優先順位付けを向上させる可能性があります。インテリジェントマシンがその人の仕事の役割を学習することができれば、その人の幸福度に焦点を当てた、タスクやプロジェクトに取り組むべき順序を推奨できるようになります。
例えば、要求の厳しい仕事や集中的な仕事をした後に、システムがシンプルで楽しい仕事を勧め、個人がリラックスのためにスケジュールを再調整できるようにしたり、時間通りにオフィスを出られるようにしたりすることができます。
ありふれたタスクの自動化
従業員エンゲージメントの欠如は、仕事に関連したメンタルヘルス問題の原因としてさらに増加しており、多くの場合、退屈でやる気を削ぐような仕事、仕事の過負荷、ストレスレベルの上昇が原因となっています。最近のGallupの調査によると、世界の企業の85%の人が、社員エンゲージメントを失っていることが明らかになりました。この事実は、企業の多大な損失を意味し、年間7兆ドルとも言われています。
しかし、インテリジェントなワークスペースが個人の役割やニーズに合わせてカスタマイズされてしまえば、コンピューターがその人の日常的なタスクを引き継ぎ、集中力を奪ったり、平凡でやりがいがなかったりする仕事を取り除いてくれる可能性があります。
従業員にとっては、微妙な違いや顕著な違いがあるかもしれませんが、システムがこれらのニュアンスを学習し、個人にとって有用なものだけを自動化することが重要です。すべてが自動化されるわけではありませんが、個人が軽くて負担の少ない仕事を楽しんでいるのであれば、それを維持することを選択することができます。
簡素化されたテクノロジーの体験
今日のIT体験はアプリやデバイス中心で、個人のデジタルワークスペースの構成方法に制約があります。これは、フラストレーションや不必要なストレスを生み出す可能性があります。