仕事の量を管理、タスクを自動化--AIが職場のメンタルヘルスを改善する日 - (page 2)

尾羽沢功 (シトリックス・システムズ・ジャパン)

2020-08-20 06:30

 しかし、AI技術が高度化するにつれ、ますます文脈に沿ったものになり、ユーザーが使用しているアプリケーションやツールではなく、ユーザーが達成しようとしているタスクや結果に焦点が当てられるようになるでしょう。

 さらに、全体的なテクノロジー体験も簡素化され、個人に提示されるのは目の前のタスクに関連するマイクロアプリやアプリのサブセットのみで、それらは1つのインターフェースでカスタマイズされます。これはすべて、テクノロジー関連のストレスを軽減し、従業員が「仕事に押しつぶされる」と感じることを防ぐのに役立つでしょう。

ストレスとメンタルヘルスのモニタリング

 AI技術がどのようにして精神的な健康状態を検出し、診断するために使用できるかについては、多くの研究が進行中であり、これは職場での活用の可能性を持っています。

 将来的には、AIシステムが従業員の言葉の発音や声のトーンをモニターしてストレスを感じていないかどうかをチェックしたり、うつ病を予測する言語的な手がかりを検出したり、心拍数の急上昇やタイピング速度の増加、生産性の低下などを分析したりすることで、雇用主への警告サインとなるかもしれません。

 スマートウォッチや顔の表情などの生体情報も、メンタルヘルスの問題をリアルタイムで検出するのに役立つかもしれません。これらの情報があれば、個人のストレスレベルに合わせて適切なタスクを提供することができます。

職場の未来

 AIは労働者が自分の役割にもっと従事し、職場でより幸せになれるようにする可能性を秘めているということです。

 しかし、プライバシーの問題や従業員に安心して様々なレベルのモニタリングを受け入れてもらうなど、実現にはさまざまな壁もあります。AIの開発が安全で関連性があり、文脈を理解した上で、個人の幸福を念頭に置いて構築されていることを保証するためのプロトコルが不可欠になります。責任を持って管理されていれば、全体的な利益は、職場内で増加しているメンタルヘルスの危機を減らすことに大きく貢献する可能性があることは事実です。

尾羽沢功(おばざわ・いさお)
シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長
1982年に高見澤電機製作所(現・富士通コンポーネント)に営業職として入社、富士通による買収後は富士通コンポーネントのドイツ支社長として赴任。日本ルーセントテクノロジー(現・ノキアソリューションズ&ネットワーク)と日本アバイアで取締役 営業本部長職、2005年からSAS Institute Japanで執行役員営業統括本部長、2013年からインフォアジャパン代表取締役社長を歴任。
2019年4月からシトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長に就任、日本市場での営業やマーケティング、新規事業開発などを統括している

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