IDCは、世界11カ国1200社に対してデータからインサイト(洞察)を導き出す能力に関する調査を行い、結果を発表した。同調査は、データ統合と分析のクラウドプラットフォームを提供しているQlik Technologiesの後援で実施された。
これによると、リーダー企業はデータパイプラインの最適化を通じて23%の増収を実現していることが分かった。また、日本はモダンデータおよび分析パイプラインを介してデータからインサイトを導き出す「data-to-insights」(D2I)のスコアで38.5となり、主要10カ国の平均スコアの41.6を下回った。
調査は2~3月に実施された。対象はオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、シンガポール、英国、米国の企業で、回答者は取締役、副社長、経営幹部レベルの意思決定者。全回答企業が全世界で少なくとも1000人の従業員を抱えており、教育、金融、政府、医療、製造、小売/卸売、運輸、通信、公益事業など、さまざまな業界のリーダーとして位置付けられている。
なおD2Iは、IDCが提供する新しい評価ツールで、あらゆる企業が自社のデータパイプラインの強さとギャップを評価すできる。D2Iスコアは、0~100で測定され、スコアが高いほどデータがビジネス内で機能し競争力を提供する可能性が高いことを示す。同スコアを使用すると、企業は同業他社に対する有効性をランク付けでき、データパイプラインの4つの領域(エンタープライズデータの識別、収集、変換、分析)のパフォーマンスを測定できる。IDCのランキングによると、各業界のリーダー企業の平均D2Iスコアは75で、ラガード(最も保守的で伝統的な層)は30となっている。
国ごとの分析で、最高スコアはブラジルの52.5、最低スコアはフランスの34.9と17ポイント差がついた。平均スコアは、米国、ブラジル、カナダの米州が45で最も高く、これにAPAC(インド、シンガポール、日本、オーストラリア)の41.8、EMEA(英国、フランス、ドイツ)の37.8が続く。
日本企業の回答でデータ分析プロジェクトが目標を達成できなかった最も一般的な理由として最多は「データの品質が十分ではなかった」(40%)だった。さらに、「データをタイムリーに分析に利用できなかった」(35%)、「分析に欠陥があった」(30%)、「データを分析する人が業務プロセスの流れに沿ってデータを理解する専門知識を持っていなかった」(28%)が続く。
また、日本のビジネスリーダーの31%が、今後12カ月間のデータ管理とガバナンス構造の構築がデータ投資の最大の焦点であると回答しているのに対し、分析を意思決定に組み込む方法の改善を優先しているのはわずか2%だった。
Qlik Technologies日本法人のクリックテック・ジャパンは、今回の調査結果について、コロナ禍で不可欠な顧客満足度/ロイヤルティの向上に関する項目でAPACは最高の伸び率だったが、その中で日本の伸び率は18%で最も低く、さらに主要10カ国においても英国、フランスに次ぐ低い伸び率だったと指摘した。その上で優れたデータ分析アプリケーションを活用すれば、データからインサイトを導き出す能力を向上させ、具体的な成果を出すことができるとしている。