調査

IoTで注目すべき「データエコシステム」と「データパイプライン/DataOps」--IDC

ZDNET Japan Staff

2020-09-29 13:14

 IDC Japanは、国内IoT市場のテクノロジー別支出額予測を発表した。2019年は7兆258億円で、2020年と2021年は成長スピードが新型コロナウイルス感染症の影響で若干減速するも2019~2024年は年間平均成長率10.3%で成長し、2024年の支出額は11兆4697億円になる見込んでいる。

 同社は、IoT支出額を「ハードウェア」「コネクティビティ」「ソフトウェア」「サービス」の4つに分類して予測。今回調査の結果、予測対象期間ではソフトウェアとサービスの支出割合が継続的に増加し、2024年に全体の6割を超えるという。クラウドやアナリティクス、人工知能(AI)などの技術が発達し、それらを活用する上での技術/コスト障壁が急速に下がる中で、企業はIoTをこれまで以上に高度に活用する必要性が高まっているとする。

 直近で同市場における重要な変化に、「データエコシステム」と「データパイプライン/DataOps」があるという。

 データエコシステムとは、企業内のさまざまなファーストパーティーデータをセカンドパーティー(協業先の組織)やサードパーティー(協業先以外の外部組織)のデータと掛け合わせ、新たなビジネスモデルや収益モデルを創出すべく形成するステークホルダーの集合体を指す。「企業はデータエコシステムを通じて基幹系システムのデータやデジタルマーケティング/IoTのデータなど、自社が主体となって取得するデータのみを活用するのではなく、社外のプレイヤーが保有するデータを社内データと組み合わせ、複合的に活用するための仕組みとして、産業横断型データ取引基盤、情報銀行、『Data as a Service』などへの関心を急速に高めている」(同社)

 データパイプライン/DataOpsについて同社は、IoTデバイス接続数の急速な拡大に伴ってIoTデータの量が今後爆発的に増大し、ストリーミング型分析エンジンやAIを組み合わせて新たな洞察を得られるようになると解説。データパイプライン/DataOpsとは、企業におけるデータの収集、保護、品質管理、統合、準備、学習、分析、活用などの各プロセスと、それを支えるテクノロジーや各プロセスに関わる組織や人の概念としている。企業では、データの仕様を組織内で統一し、エンジニアリングや営業、マーケティング、サービスといった各部門に適切なアクセス権限を付与するなど、データ処理/分析プロセスを最適化するための組織作りの重要性が高まっているという。

 IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「IoTに必須なテクノロジー/ビジネススキルの業界全体での底上げをすべくベンダーと企業の間で相互的に知見を共有しながら人材育成を進めることで、IoT業界全体として人材の裾野を広げることが肝心になる」と提起している。

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