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製造業のリモートモニタリング実現へ--IIJ、IoT事業の取り組み語る

大場みのり (編集部)

2020-09-01 15:03

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は8月31日、自社のIoT事業について説明するとともに、同日から提供している新サービスを紹介した。

 IoT市場について、IIJ IoTビジネス事業部長の岡田晋介氏は「大きな変化を感じている」とコメント。具体的には、事業会社の事業部門や製品開発部門がIoTへの取り組みに乗り出しているほか、数年前まではPoC(概念実証)止まりの案件が多かったが、最近は本格展開が増えているという。その背景について岡田氏は「事例の増加に伴いIoTを取り入れやすくなったことに加え、多くの企業が従来の事業から変化を余儀なくされている。また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、リモート対応の重要性が増している」と説明した。

IIJ IoTビジネス事業部長の岡田晋介氏
IIJ IoTビジネス事業部長の岡田晋介氏

 同社のIoT事業は、2019年度の売り上げが前年比49%増。2020年度に関しては新型コロナウイルス感染症の影響で不透明だが、現時点では堅調に推移しているという。2019年度の案件数においては、前年度の2倍以上となった。この要因には、IoT用途の法人向けモバイルサービス需要が伸びていることに加え、分野別の活動が本格化していることがあるという。

 IIJのIoT事業には、「自社のサービスをIoT市場に適した形で展開する」「IoT市場で新たなサービスを開発・展開する」という2つの軸がある。前者では、同社が既に提供しているネットワーク、クラウド、セキュリティサービスなどをIoT市場に合った形で顧客に提供している。その活動の一つとして、「IIJ IoTサービス」の開発と市場展開を行っている。後者では、センサー、ネットワーク、クラウド、アプリケーションなど、IoT事業に取り組む上で必要な技術をパッケージ化したサービスを開発し、特定分野で展開している。そして、現場での実践を通して得たノウハウやニーズをサービスに反映し、改善を図っているという。

 IIJ IoTサービスでは、IoT事業で必要とされる基本的な機能一式(下図参照)を提供している。例えば顧客が設備のリモート監視を希望する場合、それを実現する機能に加え、「設備をリモート監視する」という業務を「監視する」機能も提供する。

(出典:IIJ)
(出典:IIJ)

 IIJがIoT事業で注力する分野には、「産業(製造業)」「農業」「ホーム・見守り」「エネルギー」がある。農業分野では他社とコンソーシアムを結成し、水田農家の省力化に向けて「ICT水管理システム」を開発。同システムにより農業従事者は、水田に行くことなく自宅や出先から測定データを確認したり、自動給水弁を遠隔操作して水位をコントロールしたりできるという。同社は、水位と水温を30分おきに測定して無線通信を行う水田センサーや、LPWA(省電力長距離通信)の一種であるLoRaWANを用いた無線基地局の開発を担当。2017~2019年の3年間、静岡県袋井市・磐田市において実証実験を行い、2020年度に「IIJ水管理プラットフォーム for 水田」として事業化した。

実証実験の様子。IIJの担当者が現地に赴き、田植えに参加しながら開発を進めたという(出典:IIJ)
実証実験の様子。IIJの担当者が現地に赴き、田植えに参加しながら開発を進めたという(出典:IIJ)

 ホーム・見守り分野においては、2018年に中部電力と共同で、合同会社ネコリコを設立。同社のホームIoTサービス「necolico HOME+」では、センサーを自宅の好きな所に設置することで、換気のタイミングや熱中症の危険度などを「LINE」で通知する。この技術を応用し、冷蔵庫のドアにセンサーを設置して高齢者を見守る「独居ケアアシスタント」を提供するほか、日本データサイエンス研究所、東京大学大学院情報学環 越塚登研究室と共同で、健康な状態と要介護状態の中間「フレイル」を検知する実証実験も行っている。

ホーム・見守り分野の取り組み(出典:IIJ)
ホーム・見守り分野の取り組み(出典:IIJ)

 そしてIIJは8月31日、「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」の提供を開始した。同サービスでは、産業機械や工場設備をIoT化する各種デバイスから、セキュアネットワーク、クラウド、デバイス管理機能、データを可視化するアプリケーションまでを包括的に提供するという。産業機械・計測器メーカー向けの「Machinery」と、工場設備・生産管理部門向けの「Factory」が用意されている。

 IIJ ビジネス事業部 ソリューションインテグレーション課長の高舘洋介氏は、両サービスに共通する特徴を説明。まず、同社のセキュアネットワークにより、リモートモニタリング/アクセスが可能となる。産業機械をインターネットへつながないことで、安全性を確保しているという。また、製造業務に合わせたソリューションパッケージとして、アプリケーションテンプレート、モバイルネットワーク/PaaS(Platform as a Service)、エッジデバイスが用意されている。これにより、短納期かつ低コストでスモールスタートすることができるようになる。

IIJ IoTビジネス事業部 ソリューションインテグレーション課長の高舘洋介氏
IIJ IoTビジネス事業部 ソリューションインテグレーション課長の高舘洋介氏

 IIJは2019年、台湾の産業用コンピューター企業Advantechと協業。Advantechの産業IoT向け基盤「WISE-PaaS」にIIJの安全なネットワークとクラウドサービスを組み込んだ「WISE-PaaS IIJ Japan-East」を共同開発した。IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメントでは、同基盤にエッジデバイスやネットワーク機能を組み合わせている。

 同サービス提供の背景について高舘氏は「デジタル化へのモチベーションが高い製造業者は多い一方、ノウハウ/IT人材不足や導入コストが障壁になっている。加えて、最近は新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、産機メーカーの納入先訪問や、設備担当者による自社工場への出張に制限がかかっており、設備を目で見て確認したり、現場に行ってメンテナンスをしたりすることが難しくなっている。これらの課題を解決するため、提供に至った」と述べていた。

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