レガシーの正体
どうやらIBM iはプラットフォームとしてモダナイゼーション済なオープンシステムのようである。
では、何がレガシーなのか? 今まで項目に上がっていない以下の2点が挙げられる。
A.ユーザーアプリケーション
ユーザーが開発したアプリケーションは、長年改修を繰り返し、棚卸しをしていないため膨大なリソースとなっている。また、仕様書などは残っていない場合も多く、ブラックボックス化している場合も多い。
さらにRPGⅡやRPGⅢなどの言語で書かれたプログラムや、データベースへのレコードレベルアクセスといった他の言語、データベースエンジニアからはなかなか読解しにくいリソースは、DX推進などにおいて、柔軟な対応ができない。
B.IBM iの使い方(開発方法、運用手法など)
キーボード入力と画面の文字表示のみで操作する「グリーンスクリーン」と呼ばれるキャラクターユーザーインターフェース(CUI)での開発、運用は、20~30年前から変わっていない。なかなか若いエンジニアに受け入れられない状況であり、ノウハウが引き継がれていかない。
改修や新規開発も昔のままの手法なので、IBM iのプラットフォームが進歩しても、AS/400と呼ばれていた時代と何も変わっていない。これは属人化と技術者の高齢化の大きな要因となっている。
「レガシー」の正体はわかった。
次回は「近代化を阻む要因」と題し、「レガシー」であるユーザーアプリケーションや古い使い方のモダナイゼーションを阻む障壁を分析する。本企画の主題である「新しい選択肢」につながる、乗り越えなくてはいけない条件を提示したいと思う。
(第4回は11月中旬にて掲載予定)

- 阿野 幸裕(あの ゆきひろ)
- ジーアールソリューションズ
- モダナイゼーション事業部長
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大学卒業後、トーメン情報システムズで、IBMメインフレーム、ミッドレンジコンピューター、UNIXなどのシステム開発を経験後、1995年よりSybaseやSASなどの外資系ソフトベンダーにてプリセールスエンジニアとして従事。
2020年4月から、その経験を生かし、ジーアールソリューションズに入社。以来、同社が独占販売権を持つカナダFresche solution社の製品を中核としたモダナイゼーション事業に参画している。