Autodeskは米国時間11月17日、Spacemakerを2億4000万ドル(約250億円)で買収することで合意したと発表した。Spacemakerは、ノルウェーのオスロを拠点とするテクノロジー企業で、人工知能(AI)とジェネレーティブデザインを利用し、建築家や都市計画者、不動産開発業者が設計に関する初期段階の決定を効率的にできるよう支援している。
Autodeskの新プラットフォーム「Tandem」のスクリーンショット
建築家や開発業者はSpacemakerのAIを利用するプラットフォームで、建物や都市開発に関する選択肢を考案し、評価できる。同社のソフトウェアは、主要な設計基準や、地形、地図、風、照明、交通、区域分けのようなデータを考慮し、候補地に最適な設計レイアウトを作成する。
AutodeskはSpacemakerを買収することで、アウトカムベースの設計ロードマップやジェネレーティブデザインへのフォーカスを加速させる。ジェネレーティブデザインは、設計案の策定や建築のプロセスを効率化して加速する。
AutodeskのAEC Design SolutionsシニアバイスプレジデントのAmy Bunszel氏は、「当社のチームや補完技術と組み合わせれば、設計者はSpacemakerの画期的なソリューションによって、より多くの情報を得た上で設計に関する決定を下せるようになり、目前にある私たちの大きな問題を解決する上で有用となる」と述べた。
さらにAutodeskは同日、「Autodesk Tandem」を発表した。設計資産や建設資産のデジタルツインを作成するために、プロジェクトデータを単一のプラットフォームに統合する。Autodeskによると、新しいTandemプラットフォームは、プロジェクトが完了した後にデジタルデータが整理されず、使われないままとなることの多い建築、エンジニアリング、建設業界などを想定している。
ビルの所有者などやプロジェクト関係者は、Tandemを使って設計データや建築データを活用し、事業運営を改善できるようになるとAutodeskは述べた。
同社は、「Autodesk Tandemは、デジタルの世界を現実世界と結びつけ、モデルの物理的な実体を最新の状態で反映したものを作成する」と説明している。「施設や建物、橋といった構造物だけでなく、たとえば冷暖房システムやエスカレーター、電気系統の性能などの要素についても、他では得られない運用に関するインサイトが得られる」
また、AutodeskはNVIDIAと提携し、NVIDIAの「Omniverse」プラットフォームに設計ソフトウェアスイートを提供している。Omniverseは、設計、ロボット工学、自動運転車、メディアとエンターテインメントなどの分野におけるコラボレーションやシミュレーションのためのプラットフォームだ。
Omniverseは、Pixarの「Universal Scene Description」(USD)に対応する。NVIDIAによると、Omniverseのオープンなコラボレーションプラットフォームによって、業界を越えて2Dや3Dの製品パイプラインを効率化できる。Omniverseを利用すれば、離れた場所にいるチームが、プロジェクトで同時にコラボレーションすることが可能になる。NVIDIAは先週、オープンソースのOmniverseプラットフォームが、Autodeskのソフトウェアや他のプロバイダーと連携していると発表した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。