海外コメンタリー

ニューノーマルに向かう2021年、サイバーセキュリティに求められるものとは

Heidi Shey (Forrester Research) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-12-23 06:30

 経済の不確実性や社会運動、地政学の変化に直面し、顧客の期待は必要に迫られて変化している。このことは、世界中の情報セキュリティやITセキュリティのプロフェッショナルに大きな影響を与えるだろう。2021年には「新常態(ニューノーマル)」への移行が始まり、企業は今後も新たなビジネスモデルに適応し続けることになる。

 Forrester Researchは、2021年にはサイバーセキュリティに関して次のようなトレンドがみられると予想している。

  • 有害なセキュリティ文化を浸透させたことを理由として、グローバル500企業の最高情報セキュリティ責任者(CISO)が少なくとも1人解雇されるかもしれない。有害なセキュリティチームの文化は、従業員の定着率を低下させ、採用活動の妨げになる。CISOはその種の問題を発見して修正する責任を負っているが、問題の原因がCISO自身であれば何が起きるだろうか。従業員の力は増しており、企業が従業員を無視した場合、自分たちの懸念をソーシャルメディアで増幅できることを理解している。専門家のネットワークは、以前は避けるべき有害なリーダーや個人の詳しい情報を秘密裏に共有していたが、現在ではそうしたコミュニケーションが公の場に出るようになった(そしてそれはあるべき姿だ)。2021年は、敵対的な文化を生み出したり、容認したり、無視したりするリーダーがその責任を取る年になるだろう。CISOは、共感力と人材管理スキルの改善に投資し、チームを繁栄に導く前向きな文化を育てる必要がある。
  • 米国以外に本社を置くサイバーセキュリティ企業への投資が20%増加する。スタートアップの創出は、国家のプライドの源泉になっており、欧州やアジア太平洋地域で投資の対象になっている。欧州委員会がデジタル主権の推進のために行っている取り組みや、アジアの経済保護主義は、各地域に本拠を置くサイバーセキュリティ企業への投資増につながる。多国籍企業は、供給元を1つに絞るアプローチを諦め、地域ごとに独自のソリューションを導入せざるを得ない現実を受け入れる必要があるだろう。スタートアップを発掘する能力を向上させ、各地域で有望な新しいセキュリティ技術を見つけ、それらを獲得するための柔軟な調達枠組みや調達計画を策定し、異なるベンダーの間で一貫性を維持するための標準的なセキュリティガイドラインを作るべきだ。
  • 監査所見や予算の圧力により、リスク定量化技術が利用されるようになる。苦境に立たされた企業は、2020年を生き抜くために人件費やテクノロジーに関する費用を削減した。2021年には、予算の横ばいや減少を背景として、支出の必要性を明確にすることが求められるだろう。資産の重要性や、ビジネスの文脈で問題の潜在的な影響に関する知見をリアルタイムに提供できるリスク定量化ソリューションは、セキュリティリーダーが何を残し、何を削り、限られた追加予算をどこに付けるべきかを判断するのに役立つ。成長が続いていた時期には十分だった実績のあるビジネスケースを乗り越えて進むために、リスク定量化ソリューションを検討すべきだ。

 また、2021年にも引き続き情報漏洩やランサムウェアによるインシデントが発生するだろう。2021年に重要なビジネスとテクノロジーのトレンドを把握するための、Forresterによる「2021 Predictions Guide」の電子ブックはダウンロード可能になっている。

 本稿はForrester ResearchのプリンシパルアナリストのHeidi Sheyが執筆した。Forresterのサイトにオリジナルの記事がある。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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